木村武山の作品紹介
死者への鎮魂の思いを込めた絵「釈迦来迎図」
木村武山は明治時代に活躍した画家でした。茨城県笠間市出身。
岡倉天心が校長を務める東京美術学校に入学しますが、ほどなくして天心がスキャンダルにより失脚。
静かな環境を求めて茨城県北茨城市に移住したときに、天心を慕い付いてきました。
品のある、格調高さと、柔らかな色彩が特徴。
歴史画や弁財天像、イソップ童話から想を得た作品、果ては戸板への花鳥画など作品は多岐にわたります。
が、木村武山の一番の魅力は仏教画ではないでしょうか。
自身も熱心な仏教徒であったようですが、それ以上に最愛の母が信仰心の厚い女性だったようです。
母が亡くなった時には何枚もの釈迦来迎図を描いています。
これは、お釈迦さまや天女たちが亡くなった方の御霊を迎えに来るところを描いたもの。
仏教徒ならずとも、見入ってしまう美しさです。
茨城県北茨城市にある天心美術館では、あの3.11の震災あと、しばらく閉館を余儀なくされていました。
半年後にようやく再開したときに、特集を組んだのがこの木村武山の作品。
とくに釈迦来迎図をたくさん集めて展示してありました。
たとえ苦しい思いをして亡くなっても、こうやって美しい風景のなか、お釈迦さまや天女様たちがお迎えに来てくれる。
その思いは、身近な人を無くした方々には大きな慰めになったことでしょう。
芸術というのは、単に美しいだけのものではない。
時には人を力づけるものだと知らせてくれた画家だと思います。
文:小椋 恵
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