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歌川広重

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歌川広重のここがすごい!

完璧な構図と感性で日本美を描いた歌川広重の風景画

歌川広重は最初は当時の人気浮世絵師だった歌川豊国の弟子になろうとしますが、定員がいっぱいだったこともあり断られて、歌川豊広(1776年-1828年)の弟子になります。
けれども豊広が描く風景画の情緒的な世界感は独自のものがあり、それが弟子の広重に影響を与えたと言われています。
広重が浮世絵師として世に出始めた時代の浮世絵の人気は、役者絵と美人画に集中していて、広重も役者絵や美人画を描きますが、これらのジャンルでは人気を得ることはできませんでした。

しかし、1833年に「東海道五十三次」を発表するとたちまち評判を呼んで浮世絵の世界に風景画を人気ジャンルとして確立します。
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広重の作風としては、人間が実際に見る風景のような自然な遠近感を見事に表現している所にあります。
また、代表作「東海道五十三次」では、そこに描かれる人々の姿には情緒的な雰囲気がにじみ出ていて、背景の山並みを大胆にデフォルメを行うなど、リアリズムを追求する一方で特徴的な感性で新しい浮世絵の表現を目指す探求者としての面も持っていました。

そして、広重晩年の名作「名所江戸百景」でも大胆な鳥瞰の構図で江戸の町並みを、広重独自の視点で描いて彼の最高傑作とも言われますが、そこにはかつての江戸に生きた人々の息吹が宿っていて、江戸時代にタイムスリップしたような気分になります。
安定感のある構図と遠近感にモダンさもミックスして、そこに情緒的な雰囲気を描きこんだ所に歌川広重の風景画の魅力があります。

文:ヴィヴィアン

歌川広重の基本情報

ヒロシゲブルーと呼ばれた青が印象的な風景画

歌川広重は、江戸時代に活躍した浮世絵師で、風景画家として今日まで多大な影響を与えています。代表作の『東海道五十三次』シリーズは、東海道を上った経験をもとに描かれ、当時最も大きな道路であった東海道の名所を、江戸から京都到着までの計54枚からなる連作です。この作品によって広重の風景画家としての地位は確かなものとなり、この後にも日本各地の名所の風景画を多数残しています。
広重の作品は、青色が印象的なものが多く、川や空が描かれた風景画の中で、美しくも大胆にその存在感を放っています。この独特の青色の表現は、ヒロシゲブルーと呼ばれ、西洋の印象派の画家に大きな影響を与えました。印象派の画家であるゴッホは、広重に影響されその作品を模写しており、その作品が今日まで残っています。日本各地の名所を独特の大胆な構図と色彩感覚で描き、名所シリーズとして連作を多数発表しました。
風景画だけでなく、美人画や花鳥図も手がけ、これら作品は版画ではなく、肉筆浮世絵として発表されています。浮世絵師は版画で作品を作ることが多かったのですが、広重は肉筆浮世絵でも数多くの作品を残しています。他にも挿絵画家として活動したり、襖絵を手がけるなど、幅広い分野に素晴らしい作品を残しています。

文:あやぱみゅ

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