冷たい抽象と熱い抽象はどこがどう違うのでしょうか。
抽象画の流れを「冷たい抽象」と「熱い抽象」に立て分けて分析し類型化していく見方があります。私個人としてはこのような分類はあまり意味のないものに思えます。意味あるのは画家自身のその表現への必然性であり、同じくどのような人たちにどう影響を与えたのかという点が大事なのではないだろうかと思えます。
「冷たい抽象」と呼ばれる画家にピエト・モンドリアンがいます。彼は樹木の木々を抽象化していき、ついには直線に集約します。それと並行し三原色のみ配するという独自の表現に行きつきます。現代のヴィジュアルデザインにも影響を与えていると思われます。
また「熱い抽象」の画家の代表にワシリー・カンディンスキーがいます。彼が抽象表現、とりわけ「純粋抽象」に踏み込んだきっかけは次のような出来事です。彼はアトリエで絵を描き、外出します。用事を済ませて帰宅し、ドアを開けるとそこには美しい絵画があったのです。誰の絵かと確かめた彼は驚きました。彼自身の絵だったのです。ただし、絵はさかさまに置かれていました。さかさまだったために色彩も、線も自由にリズムを奏でていたと言って良いでしょう。
このように、絵画史の流れにも偶然が関わっていることに興味が湧きます。
文:竹中 悟
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