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熊谷守一

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熊谷守一のここがすごい!

仙人なのか自由人なのか、猫の絵が素晴らしい熊谷守一

キャンバスではなく、板に描かれた一枚の絵。黄土色の背景にポツンと描かれた猫。猫はそこで気持ちよさそうに目を細めています。これを描いたのは熊谷守一。現代もファンが多い作家の一人です。

東京美術学校 (旧制)に入れるほどの技量と才能がありながら、彼の生涯は思いの外慎ましいものです。「画壇の仙人」と呼ばれており、実際残っている写真は仙人そのもの。二紀会創立にも携わる等、美術史上においては貢献が認められるものの、本人の性格からか無所属作家と途中からなってしまい、孤高の画家となっていきます。

結婚もし、子も設けますが、残念ながら極貧のため多くを失いその喪失感は絵にも反映されていきます。彼の独特な平面的な絵は、そこまで簡略化しても猫は猫、花は花に見えるという不思議な絵であり、鋭い観察力とそれを絵に落とせる技能が感じられます。特に特徴的なのは輪郭線をかなりはっきりと描く点です。そうでない作品もあるのですが、基本的に彼の描く絵ははっきりとした線が縁取りのように描かれています。作品サイズは貧乏だったこともあるのでしょうがすごい大作はありませんが、それでも一枚一枚丁寧に描かれた絵画は見応えがあります。家で猫を飼っていたこともあり猫シリーズが一番多いように感じますが、地面を歩く蟻などを描いた作品にはその自然に対する愛情を感じることができる素晴らしい絵です。

地味に目立たぬように生きてきたように見える画家ですが、功績が認められ文化勲章受章者に選ばれたこともあります。でも断ってしまいます。有名になって人が沢山来ることを拒んだそうです。ああ、成る程やっぱり仙人みたいな人だったんだな、と思うエピソードの一つです。彼の美術館は豊島区立熊谷守一美術館、熊谷榧つけちギャラリー(旧「熊谷守一記念館」2015年9月15日に生まれ変わりました)、熊谷守一つけち記念館等沢山ありますので一度訪れてみてはいかがでしょうか。

文:Yuina Yamakawa

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