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上村松園

上村松園のここがすごい!

比類なき技巧で「日本画での皮膚や身体のライン構成を、いともかんたんに描ききっている」作家

内に秘めた真の女性の強さや、女性同士から見た美しさも含んだ清潔感のある美人画の多い女性作家。当初からあまりに筆致がたしかだったので、絵画を取り扱う人たちの間では、初期には「あまりにうまい男性画家」として誤認されていることも多かったという程の技巧肌であり、現実に比類なき技巧で「日本画での皮膚や身体のライン構成を、いともかんたんに描ききっている」作家としてもよくしられている。

清潔感があり、一見か細く見える女性像なのに、画面上ではそれを蜻蛉のように薄くは描かず、重ねや奥行、立ち姿や頭部からのラインなど、ありとあらゆる観察眼と表現力で、その美しさやか弱さと、強さなどを併せ表現している。

また、日本画の正統らしい色の使い方がほんとうにみごとで、どの絵に向かってみても、白黒つけられない程度に、いずれもしっかりと作られていて、構成をとらえる、観察する、配置する以上の、ありとあらゆる高みを鑑賞できる。

とくに人物の姿勢や目線など、明治以降のあらゆる日本画の美人画の潮流の人ですら、描ききれなかったほどの多様なうつくしい女性らしいラインを描いている。他の人と同じようなモチーフを書いているように見せても、そこは関西女性を見慣れた女子目線女子による、美人モデルセレクション的な美しさのピックアップがある。

あまりに美しく多様なので、学生さんなどで、和洋画問わずに一冊まるごと模写で勉強するなら、「第一番に絶対おすすめ!」

また着物にいたっては、古典柄だけではなく、ちょっと当時あそびをいれた友禅風などの柄も入っていたりして、「女子目線女子」のカワイイ絵画部分も、いろいろな絵の中に堪能できる。

展示会で5点以上松園があれば、出かけて損になることは、まず存在し無い。正統派中の正統派美人画。

本人に会えることがあったら、どんな作品の影響を受けたのか、お伺いさせていただきたいほどの正しい絵具色使いと画面への向き合い方の作家。

文:AIU

気品あふれる女性たち

上村松園は、美人画を描いた女流画家で女性として初めて文化勲章を受章した人物です。

明治時代、女性が画家を志すことは中傷の対象でしたが、母が理解し支えてくれます。
そして頭角を表し活躍すると<女のくせに>とライバルの男性画家から激しく嫉妬されます。
また、彼女は未婚で子供を出産し世間から冷たい視線を浴びます。
しかし社会の偏見に負けず松園の強い精神力で絵に情熱を注ぎ込み作品が高く評価されるようになります。
現在の画壇では<松園の前に松園なく、松園の後に松園なし>とまで言われている存在です。

近代日本の美人画は西の松園 東の鏑木清方といわれており鏑木は<目標であり作品を裏返してでも見たいほどの欲望に駆られた>と語っています。

<一点の卑俗なところもなく、清澄な感じのする香高い珠玉のような絵こそ私の念願とするものなのです>と語っているように
彼女の描く女性たちは、気品高く凛としていて、意志の強さも感じられ女性からみてもうっとりしてしまいます。

そして<気性だけで生き抜いてきたとも思い、絵を描くために生き続けてきたようにも思える>と語っていたように、
松園の強い情熱が作品からにじみ出て見ているものの心を揺さぶります。

彼女の描く女性、そして松園自身の生き方は女性が理想とする女性像なのです。

文:きー

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