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ウィリアム・ホルマン・ハント

ウィリアム・ホルマン・ハントの作品紹介

ハントが羊飼いに託した思いとは?

ウィリアム・ホルマン・ハント(1827-1910)と言えば、ラファエル前派で活躍した画家として知られています。

『雇われ羊飼い』

鮮やかな色使いで、絵を見るものを魅了するハントの作品ですが、今回紹介したいのは1851年に描かれた作品「雇われの羊飼い」です。まず、羊という動物を導く羊飼いの存在は、キリスト教の宗教画の中で重要な役割があるようです。キリストは、良い羊飼いとして例えられているからです。
しかし、ハントがここで描こうとしたのは良い羊飼いとは異なるものです。同じ羊飼いがテーマですが、この絵の中に描かれているのは、イギリスの劇作家・詩人として知られているシェイクスピアが「リア王」の中で取り上げた、自分の仕事をしようとしない無責任な羊飼いです。

社会的なテーマを扱う事を好んだといわれるハント。彼の絵の中には美しいイギリスの田園風景に囲まれて座っている、若い男女の姿が描かれています。彼らの後ろには羊の群れが見えます。しかしこの雇われ羊飼いの描かれている姿は、羊の群れを導き、彼らの世話をしている姿ではありません。対照的に彼らは芝生に座り、二人の時間を楽しんでいるようです。
ハントはこの絵の中にメッセージを託したようです。絵の中に描かれている若い青年の手の中には、蛾が描かれており、その模様はどくろの模様だと言われています。仕事をしないことが何を意味するのか。仕事に対するハントの強い思いを、描かれている羊飼いの姿に見ることができます。

文:ラブリー

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