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ウィリアム・モリス

ウィリアム・モリスのここがすごい!

ウィリアム・モリスの愛した世界

誰もがモリスのデザインを一度は見た事があると思います。ユリやチューリップ、薔薇やアラベスクのように伝い絡まる葉たち。壁紙やカーテンなど今でも私たちのまわりで美しい世界をかもし出してくれます。1800年代の作品なのに、現在の生活に加えても十分素敵です。豊かな人生や穏やかな日々に包まれる、そんな魔法をかけてくれそうなデザインです。
 
自然は偉大です!と一言で言ってしまえばそれまでですが、自然の美しさを彼がどうして壁紙、テキスタイル、ステンドグラス、装丁などに写し取れたのでしょうか。彼が生きた時代は産業革命後で人々に余裕は無く機械に囲まれ非人間的な社会だったそうです。その反発もあったのでしょうか。緑いっぱいの自然に惹かれ、このような作品ができたのですね。今の私たちも立ち止まれないくらいのスピードで日々を過ごしていますから惹かれるのかもしれません。
 
コッツウォルズは今も蜂蜜色に囲まれ田園の中にあります。モリスはこの地方も愛していました。住まいであった「レッド・ハウス」もコッツウォルズの影響を受けていると思います。家の前にはモリスの愛した植物や果樹園が広がっています。

モリスの理想は「生活に必要なものこそ美しくあるべき」でしょうか。芸術を身近なところまで近づけた芸術家です。でも、本人は芸術家と呼ばれたくなかったかも…。言えることは自然体でマルチな才能を持った素敵な人だったという事でしょうか。

文:ブルーベリー

ウィリアム・モリスの作品紹介

秘められた恋心と恋物語「麗しのイズー(王妃グイネヴィア)」

「麗しのイズー(王妃グイネヴィア)」は、モダンデザインの父として知られるウィリアム・モリスの唯一の油絵。 イゾルデ (イズー、グイネヴィア) として描かれているのは、のちにモリスの妻となるジェーンです。
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ジェーンは、ラファエル前派の画家たちの美神でした。一方のモリスは、ぱっとしない外見で気難しい性格。そんなモリスがジェーンへの想いを込めて描いたのが、この作品なんです。

「麗しのイズー(王妃グイネヴィア)」は、伝承物語「トリスタンとイゾルデ」をモチーフにしています。身分違いの恋に落ちた騎士トリスタンとアイルランド王女イゾルデ 。イゾルデがマルク王と結婚すると、二人はさらに苦しみます。

物思いに沈むイゾルデ。イゾルデを囲むファブリックは、のちのモリスのデザインをうかがわせる植物模様です。

トリスタンの恋心に自分の心を重ねただけでなく、ジェーンをスケッチしたキャンバスの裏には「君を上手く描けなかった。しかし君を愛している。」というメッセージも残しているそうです。ロマンチックですね。

その後、二人は結婚します。しかし、幸せな生活は長くは続きませんでした。 ジェーンとラファエル前派の一員のロセッティが恋愛関係に陥ってしまうのです。

モリスがジェーンを重ねて描いたイゾルデは、夫以外の男性を想っていました。偶然なのか、予感があって描いたのか…。複雑な恋物語を秘めた作品です。

文:sophia

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