渡辺崋山のここがすごい!
緻密な肖像画で有名、ご家老様は似顔絵嗣!?
渡辺崋山は江戸後期の武士、三河国田原藩(現在の愛知県)のご家老様でもありました。
しかし、幼少のころから絵の才があり親戚に絵を習いに行ったり、画家のもとに弟子入りしたこともありますが、月謝が払えず師事先を変えるなど、苦労もありました。絵は趣味というより家計のために、仕事として学んでいた崋山ですが、金子金陵に弟子入りした際の灯篭の絵を大量に描く仕事のおかげで、絵を素早く書く技術が向上したと言われています。
崋山は政治的な面でも絵の才能を生かしており、高野長英と飢饉について対策を話し合った際には、提案書の挿絵を担当するなど、その絵の才を存分に生かした、現在でいうところの「プレゼンテーション」に役立てています。
生計のためや、政治の仕事上色々な絵を描いてきた崋山ですが、もっとも有名で得意としていたのは、写実的な肖像画です。崋山の作品には、沢山の人物の肖像画が残されています。写実性にあまりにこだわるあまりに、本来モデルが亡くなった後、戦前のモデルを思い出しながら描くことが一般的であったにもかかわらず、崋山は滝沢琴嶺が亡くなった際は、亡骸を見に行った上に直接触れて、絵を描いたと言われています。古い写真を思わせるような崋山の徹底した写実主義は、こういった行動からも当時としては突出していたかもしれません。
崋山は、文章にも長けており、挿絵とともに紀行文など旅日記のようなものも残しています。肖像画同様、その緻密な作風の作品の数々は、当時の風俗他を知る貴重な資料として珍重されています。
文:有紀 黎
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