草間彌生のここがすごい!
内なる感情をストレートに描く草間彌生
草間彌生(くさまやよい)は1929年に生誕したアーティストです。
彼女はしばしば自らを「前衛芸術家の草間彌生です」と述べますが、一体どのような人物なのでしょうか。
大成した多くの画家たちが師を持ち、弟子として修業をつんだり、また学校で絵画を学んだりしていたのに対し、草間彌生は特定の師を持たず幼いころから独自のスタイルを貫いてきました。
日本の美術大学で日本画の”描き方”こそ学んだものの、草間は日本の保守的なアートの在り方に閉口します。
そこで草間は戦後間もない1950年代にたった一人でアメリカに移住し、そこで多くのアート活動を行いました。
草間彌生がどんな作品を創ってきたか、それはインターネットや書籍を調べればすぐに閲覧することができます。
はっきりした色合いの水玉模様や実線の印象的な平面構成や、うねった植物の彫刻、無数のライトに覆われた空間など、強烈な印象のものばかりです。
では、彼女はどんな動機や気持ちでその作品に着手したのでしょうか。
草間彌生の作品やパフォーマンスには、いずれも彼女の「戦争の無い世界、平和への願い」が込められています。
幼いころに患った精神病による幻覚・幻聴の恐怖や、家庭環境や両親との葛藤による苦悩の多くを、草間は「アート」という形に昇華していました。
自らが体験した恐怖や苦しみと向き合い、絵に描いたり彫刻に表したり(文章にすることもあり、書籍も出版されています)することで、多くの人の共感や評価を得たのです。
私は草間彌生を『自らの苦しみを「美しいもの」へ創りかえることができる人物』だと捉えています。
これは私が彼女のファンである理由のひとつで、私自身、このような生き方に憧れています。
戦後、豊かなモノに囲まれ、設備の整った裕福な日本で暮らしていても、それなりの苦悩や恐怖、悲しみは絶えず出てくるものです。
この厄介な感情たちを「芸術作品」として表現することができれば、誰の心を傷つけることなく生きていけるのではないでしょうか。
草間彌生の作品を見るとき、私はそんなことを考えています。「平和への願い」に通ずるものがあるのかもしれません。
皆さんも機会があればぜひ草間彌生の作品を見てみてください。
文:ひかる
草間彌生の作品紹介
梅雨があけて
草間彌生さんは、かぼちゃなどの日常生活にあるものを独特の手法で視覚に訴える作品が多いのが特徴です。
特に私が気に入っている作品が「梅雨があけて」という作品です。直接画用紙に水を垂らした描写が非常に新鮮な絵画だと思います。
背後には青い澄み切った空が描かれて、ただ単に水滴を垂らしただけの作品ではないところも魅力のひとつです。
草間彌生さんの作品にはどこか中世の画家、サルバドールダリの作品や、パブロピカソなどの数々の著名な芸術家の作品に通じるような独特の表現方法が特徴です。もしも今もパブロピカソ、サルバドールダリなどの著名な芸術家が存命していたのなら、草間彌生さんの作品を褒め称えたのではないかと思います。
特にInfinity dotsという作品は、中でも高い評価を得ている作品だと思います。無数に広がるドット、点が非常に魅力的で、洋服の柄などにも使われるほど人気が高く、わたしも好きな作品です。
草間彌生さんの作品はそのあまりにリアルな表現方法からあまり好まない方も多いようですが、芸術的観点から見ても素晴らしい作品が多く、好きな芸術家のひとりです。
文:T.?
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