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バーン=ジョーンズの作品紹介
「眠れる森の美女」の美しい世界
作者は エドワード・バーン=ジョーンズ 。19世紀後半、イギリスで聖職者を目指していましたが、ウィリアム・モリスと出会い、ラファエル前派の一員となります。中世イタリアの美術や文学に影響を受けた作品を多く残しています。「眠れる森の美女」はイタリア文学ではありませんが、ヨーロッパに伝わるおとぎ話でラファエル前派の画家たちを惹きつけたテーマの一つでした。
バーン=ジョーンズは「眠れる森の美女」をモチーフにした連作「いばら姫」をいくつか描いています。
どの連作も、王子が王宮に現れた場面「森に入る王子」に始まり、眠る王宮の様子が1~2作品、そして、眠っている姫を描いた「眠り姫」で終わり、結末は描かれていません。物語の結末を描かなかったのは、見る人に結末を想像して欲しかったからだといわれています。バラの花が咲き乱れる中で昼寝でもしているかのように気持ちよさそうに眠る人々、その美しくも不思議な雰囲気に引き込まれ、 バーン=ジョーンズの思惑通り、その物語に思いを馳せてしまいます。
「眠り姫」のモデルをつとめたのは、 バーン=ジョーンズの娘マーガレット。結末を描かなかったのは、物語を想像してほしいだけでなく、娘にいつまでも少女のままでいて欲しいという父親の思いがあったためかもしれません。
文:sophia
輝やかしいバーン=ジョーンズの代表作「黄金の階段」
黄金の階段を降りてくる純白のドレスを着た乙女たち。女性が集まっていますがにぎやかな感じではなく、ささやき声や笑い声が心地よい音楽となって聞こえてくるような雰囲気です。
この作品は、エドワード・バーン=ジョーンズの代表作「黄金の階段」です。
バーン=ジョーンズはラファエル前派の一人として数えられる画家。 ラファエル前派は、神話や物語を主題に描くことが多くありました。この作品もいかにも物語がありそうに見えますね。しかし、この作品には文学的な主題はありません。「音楽」や「美」を、象徴的に描いているそうです。
上部の鳩と空は天界の象徴、下部の扉は地上界を象徴しています。乙女たちは楽器を手に持ち、天から地上へと降りていくところなのです。彼女たちは、天上の音楽を地上に伝える天使なのでしょうか?それとも、乙女に姿を変えた天上の音楽なのでしょうか?同じような服装、同じような顔の乙女が並んで降りてくる描写からは、音楽が雨のように降りそそぐようなイメージがわきます。
同じような顔の乙女が並んでいますが、それぞれ別の人物がモデルになっています。階段の一番上にいるのは、 バーン=ジョーンズの娘マーガレット、中ほどで弦楽器を演奏しているのはウィリアム・モリスの娘メイです。モリスとバーン=ジョーンズは大学時代から親しく、ともにラファエル前派として活動してきました。このころには、ラファエル前派は解散していましたが、家族ぐるみで付き合いが続いていたのですね。
文:sophia
バーン・ジョーンズの基本情報
波乱の人生を生きながら画家としてデザイナーとして活躍
エドワード・バーン=ジョーンズはラファエル前派の画家として多数の作品を残すとともに、 ステンドグラスやタぺストリーのデザイナーとしても活躍しました。
1833年にイギリスに生まれたバーン=ジョーンズ 。聖職者をめざしオックスフォード大学に入学しますが、そこでモリスと出会い、ラスキンの思想やラファエル前派の作品に触れ、芸術の道に進みはじめます。
1857年にロセッティがオックスフォード大学の学生会館討論室の天井画を手がけた際にはモリスとともに参加。ここからラファエル前派の一員と捉えられています。
画家として活動する一方、1861年にモリスが商会を設立するとデザイナーとしても活躍します。
しかし、1870年代にはモデルのマリア・ザンバコとの不倫がスキャンダルとなり、作品を発表できなくなります。マリア・ザンバコの自殺未遂で恋愛関係は終わりますが、その後も画家とモデルの関係は続き、彼女をモデルとした作品を残しています。その心のうちは計り知れないものがありますね。
スキャンダルが落ち着くと、ロイヤル・アカデミーに対抗して新設されたグロブナー・ギャラリーに出品し、一躍人気に。さらに「ピグマリオン」「ペルセウス」 「いばら姫」などの連作や、代表作「黄金の階段」「コフェチュア王と乞食の少女」などを描いていきます。
世間に認められたバーン=ジョーンズは、バーミンガム芸術家協会長、オックスフォード大学名誉学位や爵位を授与されました。
文:sophia
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