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ピエール・ピュヴィス・ド・シャヴァンヌ

ピエール・ピュヴィ・ド・シャヴァンヌの作品紹介

静かな雰囲気の中にこめられた強い想い、強い希望

鳩を抱える女性をセピア色で描いた「鳩」。
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フランスの画家ピエール・ピュヴィ・ド・シャヴァンヌが、1870年に勃発した普仏戦争を受けて描いた作品です。
普仏戦争ではパリが包囲され、パリに暮らす芸術家たちにも影響を及ぼしました。シャヴァンヌはパリにとどまり戦いに加わりました。その中で 「鳩」と対になる「気球」の着想を得ます。
「気球」は、黒衣の女性が気球を見送っている絵。包囲された街で、外部とつながっているのは空しかないのです。外部への手紙を乗せて、気球はパリを飛び立ちます。女性は片手を高く上げ、気球に希望を託しているように見えます。
その「気球」の好評を受けて描かれたのが「鳩」です。
「鳩」では、女性が鳩を抱えています。鳩も気球と同じく外部との大切な連絡手段。その鳩が敵が放った鷹に襲われそうになり、身を呈して守っているのです。その女性の姿に、パリを守るために、パリにとどまり戦ったシャヴァンヌ自身が投影されているように思います。
背後にはノートルダム大聖堂など雪に覆われたパリの景色が広がっています。そして、女性も鳩もパリの街も、セピア色で描かれています。これらは、包囲された厳しい状況を表現しています。
それでもこの作品からは悲壮感が感じられません。それは、女性が希望の象徴である鳩を守っている、つまり希望を捨てていないからではないでしょうか?

文:sophia

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