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ルネサンス美術のここがすごい!
三人の天才の出現なしでは語れないルネサンス
ルネサンスとは「復活」「再生」を意味するフランス語です。ギリシア、ローマの古代の文化を見直し、復興しようとする運動であり、14世紀のイタリアから始まり西欧各地に広まりました。それまでの教会中心の文化から、人間をいちばんの存在として尊重していたギリシア・ローマ時代の文化を復活させようという思想が起こりました。
イタリアで文化が花開いた背景には、画家のパトロンとなったメディチ家の興隆が大きい要因となっているのではないでしょうか。
ルネサンスと言えば、やはり三人の天才芸術家を挙げずには語れません。レオナルド・ダヴィンチ(1452年~1519年)、ラファエロ(1483年~1520年)、ミケランジェロ(1475年~1564年)です。
ダヴィンチはヴェロッキオの工房に入り、師事していました。師匠であるヴェロッキオとの共作「キリストの洗礼」では、ダヴィンチが描いた天使の絵の素晴らしさに、ヴェロッキオは筆を折る決意を固めたという逸話があります。
ダヴィンチが絵を描き始めた当時は、ちょうどフレスコ画から油彩への過渡期にあたっていました。15世紀のフーベルト、ヤン・ファン・エイク兄弟が完成させた油彩を、見事なまでに昇華させた天才と言えるでしょう。ダヴィンチの有名な作品として、「モナリザ」、「最後の晩餐」、「岩窟の聖母」などがあります。
ラファエロは37歳という若さで亡くなりましたが、たくさんの絵画を残しています。宮廷絵画を手掛けていた父の手助けをしながら、温厚な人柄で誰にでも愛されたと言われています。同時代の天才、ダヴィンチの影響も強く受けたと言われています。代表作として、「アテナイの学堂」、「ガラテアの勝利」、「ベルヴェデーレの聖母」などがあります。
ミケランジェロの代表作としては、キリストを抱くマリアの彫刻「ピエタ」、「ダビデ像」などがあります。
彼は彫刻よりも絵画作品を低いレベルのものと考えていたようです。しかし、ダヴィンチと同じく万能の天才である彼の絵画作品としては、「アダムの創造」、「最後の審判」など、非常に大きなサイズの作品が残されています。
文:saya
ルネサンス美術の基本情報
ヴェネツィアルネサンスの精神
イタリアルネサンスという言葉は聞いた事があるでしょう?14世紀のイタリアではじまった人間復興運動です。
行き過ぎたキリスト教の神への崇高の念は社会のいろんな所でひずみを作っていました。
現代から見れば極端なまでに肉体がある事、人間である事を否定しているかのよう。これでは人は何の為に生まれ、何の為に生きていくのか。人間は神を愛しているが人間を作った神は人を愛していないのだろうか。
人間は自分に対する本当の信頼である「自信」をなくし自虐的に一生を送る、それが神への敬虔な気持ちだと信じて。
こんな状態がなんと1000年も続いたのですね。
これを打破せんとして、人間が生き生きと活躍していたキリスト教以前の古代ギリシャ、ローマへの復興運動がルネサンスなんです。
あらゆる分野にこの運動は及び、とりわけ有名なのは芸術方面。レオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロの名前は誰でも知っていますよね。イタリアで始まったこのルネサンスは100年以上かけてヨーロッパ中に広がりました。
イタリアから始まったとはいえ、その中心はフィレンツェで、有名どころはほとんどがフェレンツェの作品です。フェレンツェに少し遅れて同じイタリアのヴェネツィアでもルネサンスが始まりました。
ヴェネツィアは海洋都市国家です。
アドレア海に面した国土は狭く、貿易国家で異教徒と交易する事で財を成していました。
小さな国家ですので人口も少なく ヴェネツィア人たちの結束はとても強かったそうです。
貿易都市なので開放的かと思いきや、開放的な建物に比べ精神的には鎖国状態に近かったと聞きます。
資本や資源のない国ですので 些細な事で外国から侵略されればひとたまりもありません。
外国人をえびす顔の陰でとても警戒している感じでしょうか。
どこか日本と似ている気がしませんか?
ヴェネツィア派について2点特徴をあげます。
一点目はヴェネツィア派はわりにどれもこれも似たような画風であるという事です。
これは15世紀から16世紀のヴェネツィアが 地中海貿易で富を得ていた豊かな都市国家であることと、そして(今の日本のように)突出した個性を嫌う傾向が強い国民性を持っていた事の影響です。
地中海に面した小さな都市国家は キリスト教とイスラム教の宗教や文化のボーダーライン上に位置し、異質な文化の間で商売をしていただけに 国家として固く団結しており精神的に鎖国状態であったといってもよかったのです。
しかしながら……二点目、流動的かつ色彩的な、何とも自由感あふれる作品が多いという事です。
そして宗教画であったとしても、地上の繁栄に足をつけた人間の可能性を賛美し、謳歌しているような力強さを感じます。
一見矛盾している二つの特徴ですが、逆に言えば「商売人」国家のヴェネツィアが好んだ芸術という事ですね。
ヴェネツィアルネサンスの芸術はヴェネツィアの精神性をそのまま表しています。
一つの価値観を共有しながら、自由にどこまでも富のチャンスを求め世界中を旅して周る。異文化とも臆せず交わりながらも、自国のスタンスは守り抜く。
ヴェネツィアの貴族商人たちは 一度商売で船に乗ると軽く10年くらいは家に帰らなかったそうで、個人の個性の表現でなくヴェネツィアの精神を表現している流派の絵は、遠く離れた異国の地にて自分の立ち位置や使命を再確認させてくれていたのかもしれません。
神に与えられた人間の力を肯定的に表現したヴェネツィアルネサンスは、ヨーロッパ中に広がったルネサンス運動の中でも、最も本来のルネサンス精神を表しているのではないかと思うのです。
文:COZY time
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