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ドメニコ・ギルランダーイオ

ドメニコ・ギルランダーイオのここがすごい!

宗教画を描かせれば荘重、人物を描かせれば洗練、メディチ家を始めフィレンツェの有力貴族たち御用達

花の都フィレンツェが、文字通りルネサンスの栄華を極めてその大輪の花を咲かせていた時代に、ドメニコ・ギルランダーイオはフィレンツェで生まれました。メディチ家の魂ともいえる才人、「偉大なる」ロレンツォ・デ・メディチと同年の1449年生まれであったギルランダーイオは、まさにメディチ家の栄華と時代をともにした人でした。ふぃの君主となっていたメディチ家の貴顕や結婚式、華やかな行事を絵画として残し、それらの作品は歴史的にみても重要な史料となっています。ギルランダーイオの典雅な画風は、メディチ家に限らず財力のあったフィレンツェの貴族たちにことのほか愛され、とくに貴族の名を冠した礼拝堂のフレスコ画の多くを請け負っています。宗教シーンを描くさいのギルランダーイオの筆は荘重で、色遣いも重厚でした。ところが、肖像画となると大変に写実的でそれでいながら洗練されており、こちらの分野でも注文がひきを切らなかったようです。私はとくに、ギルランダーイオの描く肖像画が好きです。その中でもとくに有名なのが、当時美女として有名であったジョヴァンナ・トルナブオーニを描いたもので、当時の慣習に忠実に横顔で描かれた肖像画は、いかにもフィレンツェの上流階級らしい繊細な女性と豪奢な衣装が印象的な作品です。ギルランダーイオはまた、祖父と孫の姿や、父と息子の姿なども肖像画として残しています。これらにはいつの時代も変わらない家族の情愛があふれており、ギルランダーイオの技量をうかがい知ることができます。「老人と孫」を描いた作品では、朱い衣装を身にまとった老人が、あどけなく彼を見つめる孫とともに描かれています。老人は病んでいるのでしょう。鼻の辺りには醜いイボまで描かれています。が、孫を見つめる視線は優しく、家長としての頼もしさにあふれています。老い先は短くとも、未来を見つめる目がそこにあります。ルネサンスの画家たちの作品が、現代の我々の目を惹きつけるのは、技量がただの技量に終わらず、描かれた作品の向こう側までが見えるような作品を残したからだと私は思っています。

文:cucciola

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