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アンドレア・マンテーニャ

アンドレア・マンテーニャのここがすごい!

公爵夫人も敬遠したほどの写実派

パドヴァ派の重鎮といわれるアンドレア・マンテーニャは、先達であったスクァルチョーネの工房で修行をし、後にフィレンツェの画家たちフィリッポ・リッピ、パオロ・ウッチェッロ、アンドレア・デル・カスターニョなどと交流がありました。とくに彫刻家のドナテッロからは、遠近法のイロハを学んだと伝えられています。ヴェネツィア派のベッリーニ兄弟とは、彼らの妹がマンテーニャの妻になったことで画家としても義兄弟としても非常に仲が良かったようです。
トスカーナやヴェネツィアの画家たちと交流がありながら、マンテーニャは独自の画風を開拓していきました。その特徴は、「写実」です。数ヶ月前、マンテーニャが描いた『婚礼の間』の女性像の写実から、当時はまだ知られていなかった病気が明らかになるというニュースが新聞を飾っています。それは、背の低い宮廷の女性の肌に描かれたシミやイボが、「神経線維腫症」という病気そのままであるというもので、当時はその病名が知られていなかったのです。マンテーニャが生涯こだわり続けた「写実」は、高名なマントヴァ公爵夫人イザベッラ・デステの好みには合わず、彼女はひたすらレオナルド・ダ・ヴィンチに自らの肖像画の依頼を続けた記録が残っています。男性的で力強い「写実」は、優美を愛したイザベッラ・デステとは相容れなかったのでしょう。
マンテーニャの写実の最高峰とも言えるのが、ミラノのブレラ美術館に残る「死せるキリスト」です。十字架から降ろされたキリストが、頭をむこうに足をこちら側に投げ出して横たわる斬新な構図で、苦しんだイエスの死に顔、手足に残る酷い傷跡、イエスの傍らで泣き崩れる聖母マリアの深い皺などなど、現代の私たちが見ても近代的で大胆なマンテーニャの筆の力を実感することができます。

文:cucciola

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