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マックス・エルンスト

マックス・エルンストのここがすごい!

「謎」であるのに深く心に焼きつく作品群。

日本に、厳密に言うと日本の画家たちに大きな影響を与えた作品群には、様々な時代に繰り広げられた芸術の流れがあります。西洋絵画の影響という視点から見ると宮廷のための画家、極論すれば画家の表現が手段として扱われた時代からの解放であるルネサンス以降は、画家自身が自らの表現を自らの物にした時代の幕開けを迎えました。日本に大きな影響を与えたモネ、ルノアールをはじめとした光を色彩で表現しようとした印象派は、その流れから生まれました。
私が惹かれた運動はフランスのパリに集った多くの画家、詩人たちが起こしたシュールレアリスムの運動です。第二次世界大戦の前後を中心に繰り広げられたこの運動は、悲惨な戦争に直面にした人々、なかんずく表現者たちの無意識の中にこそ光があるという信念に基づいた表現に最大の価値を置いた運動と言えます。
その中にマックス・エルンストという画家がいます。私は彼のフロッタージュを駆使した絵画に大変心を動かされました。フロッタージュは私たちも行ったことがあるはずです。それを完成させたといってもよいと思います。十円玉に紙を乗せて鉛筆を寝かせてこすると、十円玉のデザインが浮き出てきます。
エルンストはキャンバスにこの技法を取り入れています。それも、油彩なのです。未だにあれほどの表現をどのように成し遂げることができたのか、私も試みましたが謎なのです。
彼の作品に「海の上のカンナくず」という作品があります。何と詩的なタイトルでしょう。この作品は油彩を用い、フロッタージュの技法を使って描いています。この作品は一度見たら心に焼き付く作品です。私にとってはそうでした。
エルンストはシュールレアリスムの中心人物である詩人のアンドレ・ブルトンと一線を画すようになり、その後運動から離れます。その後も彼は私にとっては「一つの謎」である作品群を生み出していきます。「謎」であるのに心に焼き付く、これは理解ではなく「感じる」という世界です。彼の作品は私にとって大事なものです。

文:竹中 悟

具象、非具象を超えた世界

マックス・エルンスト、この名を聞いただけで私の心のどこかが踊ります。彼の画集以外の画集をたくさん買い、たくさん売りました。古書店がほとんどです。ヴェルナー・シュピ−スの監修したエルンストの画集だけは手放すことができませんでした。1980年頃、学生時代に古書として買ったものです。マックス・エルンストはドイツ生まれです。彼はのちにフランス、パリで起こったシュールレアリスムの芸術運動に加わります。彼が追及したものは他のシュルレアリスムの詩人や画家たちのように、人の無意識に眠るイメージの表現でした。エルンストは幼少の時にこんな経験をします。熱でうなされている時に見た天井の模様が様々なものに見えては消えて行くという経験です。この経験は彼にあるヒントを与えました。それは偶然にできた形やイメージを作品に用いることです。オスカー=ドミンゲスが発見したデカルコマニーという技術をエルンストは追及しました。デカルコマニーは「合わせ絵」と呼ばれる方法です。つやのある紙に水気の多い絵の具を垂らし、その上に同じつやのある紙を合わせてはがした時に偶然にできる視覚的なもの、そこにイメージを求める技法と言えます。心理検査などにも使われます。マックス・エルンストは独自の作品群にたどり着いたのです。詩的な要素は象徴的に作品タイトルに現れています。「海の上の鉋屑」「カエルは赤を歌わない」、これらの作品はとても美しい作品です。カエルはどこにも描かれてはいません。まるで地層を眺めているかのようです。静かな画面は、宇宙的でもあり、誰が見てもそれぞれのイメージにたどり着くことでしょう。まるで自然そのものであるかのようです。手元に先に書いた画集があります。この「美しき女庭師の帰還」という画集は私の大事な画集なのです。

文:竹中 悟

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