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レオナルド、ラファエロ、ミケランジェロのここがすごい!
ミステリアス、優美、マッチョ!? ルネサンス三大巨匠が描いた美女たち
レオナルド・ダ・ヴィンチ、ラファエロ・サンティ、ミケランジェロ・ブオナローティ。
言わずと知られた、ルネサンス三大巨匠。
ほぼ同時期に生まれたこの3人は、美術史上に大きな足跡を残しました。
これほどの天才が3人同時期に揃うのは奇跡だったといってもいいでしょう。
ここでは、この三大巨匠が描いた美女たちを通して、それぞれの女性観に迫ってみたいと思います。
まずはレオナルド。
この人類史上まれに見る天才の作品の中でも、もっとも有名でもっとも美しいのはやはりモナリザでしょう。
あの神秘的な微笑に引き込まれながらも、どこか不思議な、不安定な気持ちになる人もいるかもしれません。
実のところ、レオナルドは同性愛者でした。
美しい少年を助手という形で傍に置いてきましたし、男娼のいる娼館に出入りしていた記録も残っています。
女性を愛することのなかったレオナルドでしたが、女性の体、骨格には興味をもち熱心に研究しました。そして、女性の持つ母性的な側面にも。レオナルドは生まれてすぐにある事情から母親と引き離されてしまいます。
そんなレオナルドにとって母の愛は生涯の憧れであり、手の届かないものでした。
モナリザだけではなく、キリストの母や祖母を描いた作品も残されています。そのどれもが謎めいた微笑をたたえているのは、母への憧れが故だったのでしょう。
次はラファエロ。ラファエロの出生は恵まれたものでした。小規模の都市国家とはいえ、宮廷画家の父をもち、両親健在の中で育ちます。しかし、不幸なことに8歳で母を、11歳で父を亡くしてしまうのです。
8歳まではあたたかで裕福な家庭で育ったことは、ラファエロに健康的な女性観を与えます。
女性は美しく優美な人がいい…言い換えれば女性好きですね。
11歳で孤児になったとはいえ親の遺産もあり、容姿にも恵まれ、若くして画家として名声を得たラファエロ。当然、女性にもモテます。幼くして孤児になったさみしさを埋めるように多くの女性と付き合いました。同時に、若く美しく、そして優美な女性を描き続けたのです。たとえば『大公の聖母』という作品が残されていますが、実に優美です。
彼が聖母の画家の異名をもったのには、そんな背景と女性観が影響していたのでしょう。
最後はミケランジェロ。
『エリュトレイアの巫女』という作品が残されています。
ポーズも美しく、技術も確か…なのですが、見ていると何かがおかしいと感じませんか?
女性というには、あまりに筋肉質な体をしているのです。
この作品に限らず、ミケランジェロの作品に出てくる女性のほとんどが、男性にバストを付けただけのような体をしています。
広い肩幅、筋肉質な体。
あれほどのデッサン力を誇るミケランジェロでしたが、女性の体を模写することにはほとんど興味を示しませんでした。
ミケランジェロもまた、同性愛者だったのです。
彼が美しいと感じたのは、若い青年の肉体。
それが故に美しい女性を描いても、体つきは男性的になってしまう…マッチョな美女を創作し続けた続けた稀有な芸術家と言えるでしょう。
ミケランジェロも両親健在の家庭で育ちますが、やはり幼くしてして母を病気で失います。
そのためか、聖母子像などで母であるマリアを描くときだけは、女性らしい、柔らかな体つきで描かれる事が多かったようです。
傲慢、尊大で知られたミケランジェロでしたが、幼いときに亡くなった母への想いは特別なものであったようです。
文:小椋 恵
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