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ウィリアム・ターナー

ウィリアム・ターナーのここがすごい!

抽象画?風景画?死後に論争を起こした早熟な画家

ターナーは1700年代、イギリスで活躍した風景画家でした。

早くからその才能を発揮し、史上最年少の27歳でロイヤルアカデミーの正会員に選ばれたほど。
そのころは、多くの人に受け入れられました。美しく、なおかつ分かりやすい風景画を描いていたからです。
色と光を魔法のようにキャンバスに写し取り、光り輝くような美しい風景画は多くの人を驚かせていました。
もしターナーがそのまま、その技法に疑問を抱かなければ、生涯その名声を維持していたでしょう。そして多くの弟子を持ち、ターナー風の風景画という流派を作っていたことでしょう。

しかしあふれる向上心持っていたこの画家は、その超絶技法にさえ疑問を抱き始めます。
物の形を正確に描くことだけが絵画なのだろうか。光や色彩、その場の雰囲気を描くことはできないだろうか、と。
やがてターナーの風景画からは輪郭が消えてゆきます。
一見するとぼんやりとした色彩が見えるだけの作品群は、多くの人を戸惑わせ、そして失望もさせました。
多くの人が絵画に求めるものは、若くしてロイヤルアカデミーの会員になった頃のようなターナーだったのです。

しかし人の言葉などに耳を貸さずにターナーは独自の表現を模索し続けました。
若くして成功を収めたというわりには寂しい晩年だったようです。小さな借家で亡くりました。
しかし、友人にも恵まれていましたし、何よりも自らの芸術を追い求め続けたその生涯は幸福なものだったことでしょう。

死後、改めてターナーをどう評価しようかという論争が巻き起こります。
ターナーが目指したのは、実は抽象画だったのではないか。
晩年の作品群は抽象画だったのではないか…
しかしターナーの時代はまだ抽象画はありませんでしたし、仮にあったとしてもターナーは興味を持たなかったでしょう。
ターナーは現実に自分が見たものを描いたのです。
物の形ではなく、その風景の色彩、光、蒸気、雨や霧といったものを。
移ろいゆく光をそのままキャンバスにとどめようとした印象派が生まれるより数十年も早く、たった一人で独自の道を歩いた画家だったのでした。

文:小椋 恵

ウィリアム・ターナーの作品紹介

「雨、蒸気、速度 グレート・ウェスタン鉄道」は、様々な謎がある魅力な絵画です。

『雨、蒸気、スピード-グレート・ウェスタン鉄道』

ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナーの「雨、蒸気、速度 グレート・ウェスタン鉄道」は、一見すると全体にもやがかかったような、美しいけど何を描いているのかよく分からない不思議な絵画です。私はこの絵画を初めてインターネットで見た時、タイトルと絵画を交互に何度も見ながらじっくりと見ました。タイトルが分かると、何となくどういう絵なのかを掴む事ができるようになりました。当時のグレート・ウェスタン鉄道を知っていた人は、この絵画の光景をぼんやりではなくしっかり掴んでいたんだろうなと羨ましく思いました。

この絵画は、タイトルの通り雨の中グレート・ウェスタン鉄道を走る蒸気機関車の様子を描いたものです。そばに流れているのはテムズ川です。これほど美しい光景を見る事ができるなら、一度は行ってみたいと思わせる説得力がこの絵画にはあります。

この絵画が描かれた当時イギリスは産業革命中で様々な新しい、近代的なものが登場した時期でした。そして、ターナーはこの絵画の中に近代化に対するメッセージを残していると言われています。このメッセージについては今も様々な議論がされているそうで、結末は出ていません。本人が亡くなっている今、明確な答えは出ないかもしれません。ですが、その答えを知りたいと心から思わせてくれる、非常に魅力的な絵画です。

文:るるるるん

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