岩佐又兵衛のここがすごい!
絢爛豪華な絵巻物で見るものを圧倒する岩佐又兵衛
「浮世又兵衛」として知られる岩佐又兵衛は江戸初期に活躍した絵師です。
山東京伝の書物『追考浮世絵類考』によると、岩佐又兵衛は狩野内膳に絵をならったという記述がありますが、確かなことはわかっていません。
そんな謎も多い岩佐又兵衛の作風の特徴は、大和絵から漢画、人物から動物まで、あらゆる絵画に通じた知識を和漢折衷という独自のスタイルに昇華したところにあります。
特に、「山中常盤物語絵巻」・「浄瑠璃物語絵巻」・「小栗判官絵巻」・堀江物語絵巻」などの絢爛豪華な絵巻群は名高く彼の代表作と言えます。
「山中常盤物語絵巻」では自然や風俗の描写に優れた描写にあふれ、主人公の牛若の躍動感あふれる表現も素晴らしいものがある一方で、血なまぐさい戦いの描写は細部まで徹底したリアリティで全長150メートルもの長さに描かれていて圧巻です。
また、「浄瑠璃物語絵巻」では主人公の牛若と浄瑠璃が二人会うシーンの描写は大胆な赤の表現が彩り鮮やかに表現されていて、彼の作品の中でも一番豪華で華やかな作品と言えます。
岩佐又兵衛の作品はこのように膨大な長さになり、絵巻物には複数の異なる筆致が混ざっていることもあり研究がなかなか進まない時代が続きましたが、今日では岩佐又兵衛を中心とする又兵衛工房によって描かれたという考えが有力になっています。
古典的な題材を独自の精密でダイナミックな表現で描いた岩佐又兵衛の作品群は、時を超えて見るものを圧倒します。
文:ヴィヴィアン
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