ジョルジョ・モランディのここがすごい!
イタリアの偉大な画家、静物と光の融合をこれほど愛した画家がいただろうか
ジョルジョ・モランディはイタリア二十世紀の偉大な画家として今日でも美術家に愛されている画家の一人です。彼は第二次世界大戦の最中においても自分のアートへの態度を貫き、ピカソ等の作品の変遷とは違った、要するに時代の流れに影響されなかった画家といえます。
彼は何を追求したかったのか?彼の絵には一切と言い切ってしまえる程人物や動物、所謂生物は描かれていません。専ら静物・風景・・・そう私たちの生活に必然である物としてただ存在している物だけが静かに佇んでいるのです。作家はそれらにずっと問うのです。このありのままの姿とはなんぞや、と。哲学的ともいえる彼の追求は、何枚もの壜や花瓶の絵から読み取ることができます。
モチーフは日常的な物であり、配置場所は常に卓上。変化が認められるのは物の配置や光のスポットの変化のみ。まるで音楽の楽譜のように壜や花瓶が配置を変えながら演奏を奏でているかのような不思議な絵の連続。ふんわりとしたマリー・ローランサンを彷彿とさせる色彩でありながら、そこに人の気配はありません。そこにあるのは静かに佇む壜や花瓶たち・・・。間違い探しのような錯覚にも陥る同じようなモチーフの絵であるのに見る者に変化を感じさえるのは彼の求めていたありのままの姿とはどうなんだろう?という答えを私たちに問うているようです。
彼の徹底した静物に対する思いは作品作成にも表れています。そのひとつを挙げると彼は敢えて壜や花瓶に積もった埃を払わないようにしてました。そう埃に反射する光の加減や、静物の輪郭をも浮き出させるその埃を重要視したのです。一見ただの壜や花瓶や容器が描かれただけの絵ですが、その絵の意味するところはかなり深層にあります。だからこそ現代人が鑑賞しても古さを感じさせない絵なのです。光との融合に身を任せながら描かれた静物たちと一緒にジョルジョ・モランディの飽くなき追求を楽しんではみませんか?
文:Yuina Yamakawa
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