カスパー・ダーヴィト・フリードリヒのここがすごい!
絵の世界へと誘うフリードリヒ
ドイツロマン主義を代表するフリードリヒ(1774年-1840年)。風景画を得意とし、その代表作には「雲海の上の旅人」(1818年)などがあります。ロマン派の画家達は印象派のように生活の中にある自然ではなく、海や山などを描いた事で知られています。
彼の描いた数々の名作の中で、私が心に残ったのは「帆船にて」(1818年)という作品です。この絵には船の上に座って遠くを見る二人の人物が描かれています。彼らの顔はこちらからは見えず、遠い彼方を見つめています。波は人生の嵐の象徴だといわれているようです。人生の荒波を乗り越えながら、遠くにある彼らが見つめているものは?
絵の中には、大聖堂のようなものが海の先に描かれています。自分を救ってくれるもの、またはこの人生が終わった後の世界、といううものに目を向ける二人の姿はどこかノスタルジックな感じがします。大きな帆を持つ船が、波の上にいる彼らを安全に運んでいるのが印象的です。この絵を見ていると、なぜか彼らと一緒に絵の中にある世界に引き込まれていく感じがします。
フリードリヒはこのテーマを他の絵にも使ったことでも知られていて、「海の月の出」(1821年)の中でも海の先を見つめている人たちが描かれています。フリードリッヒの作品には、見る人の心を惹きつける「何か」があるようで、見るたびに新しい発見があります。
文:ラブリー
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