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ジョン・エヴァレット・ミレイ

ジョン・エヴァレット・ミレイのここがすごい!

沈みゆく「オフィーリア」に引き込まれていくのは私だけでしょうか?

私はミレイの絵が好き!と言うと、友達はみんなこう言います。「知ってる、知ってる、ミレーなら私も知ってる。いいよね。」と。

もちろん「落穂拾い」や「晩鐘」で有名なミレーの絵の事です。ミレーの絵は私も大好きですが、ここで伝えたいのはジョン・エヴァレット・ミレイの「オフィーリア」です。そして、友達との会話は決まってこう続きます「そのミレイって誰?」と…。石鹸広告のシャボン玉の少年とかロンドン塔の王子等を描いた画家と伝えると、その絵なら知っていると分かってもらえますが。

そのミレイが描いたオフィーリアが観る人を魅了します。写真のように緻密なその絵は観ている人を引き込んでいきます。観ている自分が、いつのまにか目撃者となって絵の中に佇んでいます。沈みゆくオフィーリアの口元から最後のかすかな歌声さえ聞こえてくるような臨場感です。ゆっくりと流れていく水の音や咲きほこる野薔薇の香りさえ感じられてしまう程です。五感が無意識のうちに反応してしまいます。

この絵を彼が描いたのは22歳の時、とても若い。それもそのはず、彼はロイヤル・アカデミーに最年少で入学したのですから、早熟の天才だったのですね。この若さで水面にゆらめく光や影を映しとってしまったのですから…。

オフィーリアを描く為にバスタブに水をはってモデルにポーズをとらせた事を知るにつけ、彼があらゆるものに対して妥協しないストイックな思いで挑んでいたのだと感じます。シェイクスピアの作品から派生している作品なのに、現実におこった話を描いたかのような錯覚さえ覚える美しく繊細な絵です。

文:ブルーベリー

オフィーリアによって心理的な触発を受けた瞬間

もう何年か前ですが渋谷のbunkamuraにジョンエヴァレット=ミレイ展がテート美術館からやって来た。ラファエロ前派のミレイのヴィクトリア朝の作風のもっとも詩的に表現されているとそのロマンティックなムード漂う有名な「オフィーリア」を見に行った。虚ろな瞳で水上を流れるオフィーリアを私は何度も戻って眺めた。解説をしっかり聴いたわけではないのですが川を流れるオフィーリアの周りに描かれた小さな赤や青の小花はオフィーリアの心理状態を表しているのだとか。ハムレットのヒロインとして見るより自分の心の中に横たわる受け入れる事の難しい何か…を感じさせる為か私はこの絵画に魅せられたのです。とても。水に沈んだ重くなったドレスの様子はいつも何かに囚われている為に重くて半分水に浸かったような状態を表している感じでなんていうか…その当時の自分の心の状態によく似ていてすごく自分の中のコアな部分に当たったような気がしました。それはどういう事かというと虚ろな瞳の「川を流れるオフィーリア」は私の心の状態そのものだったのです。
ミレイの絵はヴィクトリア朝の様式で描かれた写実的なものが多くコレクターの中でもそれほど高価な価値はなかったそうですが私は…このオフィーリアに出会えた事がこれほどの共感と感銘を受ける事になるとは思わなかった出来事でした。

文:まやにゃん

ジョン・エヴァレット・ミレイの作品紹介

オフィーリア

「きんぽうげ、いらくさ、ひなぎく、そして、はしたない羊飼いどもが、毛卑た名で呼びますが、清い乙女らは『死人の指』と呼んでいる紫の花などから作った花環を手に持って来ました。そして、その花かずらを垂れさがった枝にかけようと、柳の木によじのぼれば、枝はつれなくも折れて、花環もろとも川の中にどーっと落ち、もすそは大きく広がりました。それで暫くは人魚のように水の上に浮いてその間、自分の溺れるのも知らぬげに、水に住み水の性と合っているもののように、しきりに端歌を口ずさんでいましたとやら。」

ジョン・エヴァレット・ミレイの「オフィーリア」は、シェイクスピアの「ハムレット」のこの場面を忠実に描いた作品です。本当に文章の通りですよね。この文章を読めばこの絵が浮かぶし、この絵を見ればこの文章が浮かびます。
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ミレイは19世紀後半のイギリスの画家。史上最年少11歳でイギリスの美術学校ロイヤル・アカデミーに入学します。その後、当時の美術を否定し、ルネサンスの巨匠ラファエロ以前の美術に立ち戻ろうとするラファエロ前派を結成。伝説や文学を忠実に精密に再現した作品を描いていきます。

その作品の一つが「オフィーリア」です。ラファエロ前派、そしてミレイの最高傑作と呼ばれています。

「ハムレット」の場面を再現するため、ミレイはバスタブの中でモデルにポーズをとらせてこの作品を描きました。長時間バスタブに浸かり続けたモデルがひとい風邪をひき、モデルの父から慰謝料を請求されたという逸話も残っています。

そこまでこだわって描かれた「オフィーリア」は、150年以上たった今でも胸に迫る美しさで「ハムレット」の世界に私たちを誘います。

※冒頭の引用は「ハムレット」シェイクスピア作/岩波書店/1957年6月発行(初版1949年7月)p148より引用しました。

文:sophia

ジョン・エヴァレット・ミレイの基本情報

ラファエル前派以外でも活躍したジョン・エヴァレット・ミレイ

ラファエル前派を代表する画家として知られるジョン・エヴァレット・ミレイ。
実はその画家人生の中で、ラファエル前派として活動したのは10年ほどの短い期間で、ラファエル前派以外にもさまざまな活躍をしているんです。
ミレイは1829年イギリスに生まれました。史上最年少の11歳でロイヤル・アカデミー・スクールに入学。次々と賞を受賞していきます。
ところが1848年。そのロイヤル・アカデミーに反旗を翻し、ラファエル前派を設立します。
しかし、ラファエル前派の作品は世間に受け入れられませんでした。唯一ラファエル前派を評価したのが、 美術批評家ラスキンでした。
ラスキンを師と仰いだミレイは、ラスキンの「芸術は自然に忠実でなければならない」という言葉の影響下で代表作「オフィーリア」を描きます。
ところが、そのラスキンの妻エフィーとミレイは恋に落ちてしまいます。さらに同じころ、 ロイヤル・アカデミーの準会員への推薦を受け入れ、ラスキンとラファエル前派を裏切ってしまいます。
ミレイの裏切りがきっかけで、 1850年代後半にラファエル前派は解散。ラスキン夫妻は離婚します。
エフィーと結婚したミレイは、家族を養うためもあり、大衆に好まれるわかりやすい絵を描くようになります。絵本や雑誌の挿絵も手がけ、人気を集めます。
その後、伝統絵画の衰退を心配し、自ら伝統的な絵を描くようになります。
そうした功績が認められ、1885年には画家として初めて准男爵に、1896年にはロイヤル・アカデミーの会長に就任し、67才で死去しました。

文:sophia

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