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ヒエロニムス・ボス

ヒエロニムス=ボスのここがすごい!

元祖シュルレアリスム!奇怪な宗教画の世界。

ヒエロニムス・ボスは1450年頃にネーデルラントで生まれた、初期フランドル派に分類される画家です。彼の祖父、父、兄、さらに3人のおじさんたちも皆画家でした。芸術一家で育った彼ですが、実は生前の史料がほとんど残されておらず、謎の多い画家でもあります。

ボスの生きた時代は、まさにキリスト教一色といった感じで、彼自身もたくさんの宗教画を残しています。しかし、彼の描くキリスト教の世界は異質で、見てはいけないものを見てしまったような気持ちになります。

『十字架を担うキリスト』

例えば、「十字架を担うキリスト」などは、民衆の醜い描かれ方に驚くことでしょう。これでもか、という気迫を感じられるほど醜いです。キリストが弱々しく、美しく、哀れに描かれている分、余計醜さが際立っていますね。これは、キリスト=善、嘲笑う民衆=悪という明らかな対比を意味しているので、宗教画としては非常に見易い絵だと感じます。

『快楽の園』

彼の作り出す世界観は非常にエキセントリックなもので、「快楽の園」という祭壇画に、その特異さが滲み出ています。この絵は左に天国、中央に現世、右に地獄が描かれているのですが、地獄のワケのわからなさに圧倒されっぱなし。こちらを恨めしそうに見る男性の腹部は粉々に砕けており、大きくなった耳や包丁、魚の化け物が所狭しと空間を埋め尽くしています。はじめて見た時は「これが地獄か…」と、静かに絶望しました。

ボスの絵は、洋服やバッグ、靴の柄などにも使われたりしていて、かなりファッショナブルでもあります。好奇心をくすぐられる絵がたくさんあり、もっともっとボスのことを知りたくなると思うので、機会があったら是非見てみてくださいね。

文:Spacedog

不思議な生き物に魅せられた15世紀の画家

スペインと聞いて何を思い浮かべますか?パエリア、サッカー、フラメンコ、闘牛、上げ始めたらキリがないかもしれません。
そんなスペインのマドリードにある、有名な美術館の一つプラド美術館に作品が多く所蔵されている画家の一人について紹介しようと思います。

15世紀のヨーロッパで活躍した画家のヒエロニムス=ボスです。
ヒエロニムス=ボスは生涯について詳細は残されていませんが、1450年にネーデルランドに生まれ、祖父、父が画家という家に生まれ、おそらく父親の下で修行し、新信仰一派であった「聖母マリア兄弟会」に所属し、1516年に亡くなるまで、多くの作品を王侯貴族から注文を受け制作したと思われます。

彼の絵は主に聖書に基づく寓話を題材にしていますが、その発想が常識を破ったような幻想怪奇なものが多いです。
私自身がプラド美術館で見た「快楽の園」はかなり大きいサイズの三連祭壇画です。この中に登場する見たこともない不思議な生き物達は、奇妙な外見の中にも、どこかユーモラスを感じさせてくれます。
例えば、頭が鳥で胴体が人間のような生き物、大きい耳から刃が出ている戦車のような物とそこから生える足などです。祭壇画の中央には、ピンク色の塔のような不思議な建物や、裸で踊る無数の人と動物が描かれています。
その独特な幻想的な世界は見てるだけで楽しい気分になってきます。
その祭壇画の中央の一番大きい絵は「現世」を、右側の暗い色調の絵は「地獄」を表していると言われています。

ボスの絵は他に「放蕩息子」や「干し草車」などがあり、幻想的で悪魔的な世界観のなかに、どこか当時の一般民衆の平常の飾らない姿を感じる気がします。

文:田中夕霧

ヒエロニムス・ボスの作品紹介

ヒエロニムス・ボス「快楽の園」は様々な解釈がある傑作です。

三連祭壇画であるヒエロニムス・ボスの「快楽の園」は、様々な解釈ができる傑作です。何も知らずに見てもその壮大な世界観に圧倒されます。初めてこの絵を本で見た時、私は「タイトルが快楽の園で、一見人々や動物達が楽しそうにしているけど、空想的なものもたくさんあって一体どういう意味があるんだろう?」と頭の中がクエスチョンマークでいっぱいでした。ただ、色鮮やかに描かれているその世界観に心を打たれ、いつか本物を見てみたいと強く思いました。

この絵はボスの最盛期である1503年から1504年にかけて制作されたと言われていますが、ハッキリした制作年は判明していません。このようなボスの作品は他にはないそうで、とても貴重な絵画の一つです。そしてこれほどまでに壮大な作品だけあって、未だに専門家の間では様々な議論を呼んでいますが、現在では誘惑等に対する警告であるという意味に捉えられている事が多いです。

とにかく世界観が壮大で、この絵に関する資料等を読んでいてとても楽しく、同時にとても難しく混乱する事もあります。ですが、様々な解釈を見たり、自分で色々空想したりと絵画の素晴らしさがこの一枚に凝縮されていると思います。とても大好きな絵画の一つです。

文:るるるるん

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