イブ・タンギーのここがすごい!
海底のような風景を描き続けた画家。
表現の世界は、ある画家が辿ってきた人生に深く関連しているという思いがあります。
第二次世界大戦の時期にパリはシュルレアリスムの運動が盛んになります。詩人アンドレ・ブルトンの主催で始まりました。戦争という状況に抗するもの、彼らはそれを人間の根源的な部分に見出そうとしました。無意識の世界にです。あまりに絶望的な状況だからこその運動だったと推測されます。多くの画家や詩人の作品はのちの世界の絵画、文学運動に大きな影響を与えます。
その中に独特の経歴を持つ画家がいます。イブ・タンギーです。彼は絵筆を取る前は、水兵でした。世界中を駆け巡る海の男だったわけです。
彼が描き始めた世界は、独特のフォルムで表現された世界です。画面に見えるのは小石のような具体的な石を連想させるものです。多くのその「石」は色彩豊かで、線上の「つなぎ」・細い線でつながっています。まるで海底に存在する「超現実的な」物体のようです。
彼の作品はこのような表現で微妙に推移します。変化はほとんどありません。ずっと彼が描き続けたのは海底を連想させる色彩豊かな世界なのです。シュルレアリスムの画家の中でも独自の世界を提示している画家です。
彼の心には想像するに、彼の生活してきた青空も爽やかな風も同時に浮かんでいたのではないかと思うのです。
文:竹中 悟
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