佐藤可士和のここがすごい!
最高傑作とも言えるセブンイレブン
佐藤可士和デザインでは、いろいろな現代のちょっとしたアートや、番組全体のコンセプトにかかる製作、広告や製品ブランドなどにかかるデザインなど、注目すべきものが沢山あります。
中でも、コンビニエンスストアの、各社持ち寄り系あるいは担当者別や製品設定時代別でデザイン統一が図られていない、PBプライベートブランドの商品の、デザイン統一を図り、各社が個別に作成した感ではなく
「製品やサービスとしてセブンイレブンがプロデュースした」といった雰囲気を前面に押し出すことに成功している、セブンイレブンのデザインリニューアル案件は、突出した社会藝術でもあります。
これまでのPB各社製品では、フォントや色彩のちょっとした違いによって、ばらつきがあり「買ってみたけどオシャレじゃない」「スーパーでばらばらに買ったのとあまり違いが無い見た目」といった視覚上の問題があり、スーパーではなくあえてコンビニで生活必需品を購入する層の生活センスとあまり適合していないといった問題などがありました。
スマートに生活する=冷蔵庫や宅内全域のデザインのポイントの統一性を図るという点では、かつての無印良品も同じ経緯をたどりましたが、今回は時代のデザイナーとしては常に尖っている「佐藤可士和」を起用することで、幼児小児番組などでお子さんと一緒に佐藤可士和デザインを見てきたお母さん世代が、すこし子育ての繁忙期を離れて、一人で買い物をするときにもデザイン面から注目させて、その品質や値段設定でコンビニに誘導する→すこし距離の離れた同系列スーパーなどにも同デザインから誘導できるといった広告効果などが特に大きく存在しています。
「シンプルすぎるから、なにがデザイン?」といった声も聴かれますが、シンプルな中で生活に溶け込んで、「ああこれなら宅内どの環境に置いても馴染む」と冷静に切り分けられる情報量やデザイン配分をしっかりと計算されている点が、若手で尖ったデザイナーとして代表されるゆえんなのだろうといつも感じさせられます。
とにかくわかりやすくて、シンプルで馴染むのに、他の製品と並べるとかなりキャッチー感があります。
一度、他社の製品などをたくさん並べた中に、セブンイレブンPBデザインを置いてみると、馴染み感と違いが分かりやすいかと思います。
海外観光客に、「日本のコンビニは凄い」と思わせるデザイン&ブランド戦略のこれまでの事例を超えて模範になっているところは、一度注目してみるべきかなあと思います。
文:あえいおう
余計なものがないすっきり感がきもちいい。
初めて佐藤可士和さんの作品を意識したのは、娘が幼い頃に見ていたNHKの「えいごであそぼ」という番組でした。
内容も面白い番組でしたが、かわいいキャラクターと背景の色使いや造形にいつも目を奪われていました。自分が子供の頃に見ていた教育番組とは明らかに違い、洗練された明るい雰囲気。「今はこんなことに……」と思いエンドロールを見ていたら佐藤可士和さんのお名前がありました。
そして思ったことが1つ。自分が子供を持ち、初めて感じることは子供番組にたくさんのごちゃごちゃした背景はいらない。というか無意味だな。ということです。
可士和さんのデザインは簡素な中に何でも受け入れる力がある。真っ白ではないのにこれから色々書き込むことができる。色を塗り込むことができる。人によっていろいろカスタマイズしても様になる。しかしどんなに凝ったものに作り上げても、結局は全部佐藤可士和になってしまうのです。それは強硬な骨組みの様でどんなにリメイクしてもそのスタイルは変わらない。究極の引き算の結果なのかもしれません。
カップヌードルミュージアムにも行ったのですが、ここでも予期せず佐藤可士和さんに触れることができました。ミュージアムに入った瞬間からカップヌードルを見に来たことを忘れました。一言で言うと「スッキリ」という表現がぴったり。ブースごとの空間の仕切り方も、ブース内の展示の見せ方も、ついさっき見ていた感覚を引きずらない転換力があるというか、次は何かな?これは何かな?と、常に新しさを求めて次へ次へと進みたくなります。一つ一つくまなく見て回り半日以上滞在していたのですが、カップヌードルミュージアムの中は広かったのか狭かったのかわからない。時間の感覚もよくわからないような感覚に見舞われました。
帰りに寄ったお土産売り場ではショップバッグもステキで、今でもおうちで使っています。それを眺めていつも思うのですが、NHKの「えいごであそぼ」のモッチとケボのように、佐藤可士和さんがデザインした家に住んでみたいなぁ。と憧れます。
文:gajyu
佐藤可士和の凄さ
クリエイティブディレクター・アートディレクターとして日本国内だけでなく、世界的にも注目を集める佐藤可士和さんについてです。
この方が世間的に注目されたのは、HONDAのステップワゴンの広告のデザインをされてからです。大型車が売れない、車自体もそんなにカッコイイわけじゃないステップワゴンの広告をデザインし、ステップワゴンをヒットさせました。この頃は、キリンチビレモンのパッケージなど、どちらかというとポップで消費者よりなデザインをしているイメージでした。
その後ユニクロのデザインをし、ユニクロを世界的に有名にしました。グラフィックデザイナーの間では、ユニクロのロゴで使用されている書体が爆発的に流行しました。今、現在でもユニクロで使用されている書体のベースとなっているDINという書体の流行は継続しています。この流れを作ったのはとてもすごいことだし、彼のデザインは多くのデザイナーに大きな影響を与えています。グローブライド(ダイワ)、ヤンマーなどでもこのDINをベースにデザインがされています。
また、広告といえばタレントをイメージモデルとして起用するのが昨今の当たり前ですが、彼はほとんどタレントを起用せず、企業の広告をデザインしています。タレントを起用せずに商品や企業をメジャーにするのはとてもすごいことだということを多くの人に知ってもらいたいと思います。
文:phantom.g13
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