原広司のここがすごい!
近代的で重厚感のある空間
原広司は、京都駅や梅田スカイビルを手掛けた建築家です。彼の手掛けた建造物は一様に近代的で、個性を放っています。
彼の手掛けた建造物のひとつに、広島市立基町高等学校があります。
この校舎は、まさに原広司、という建築ではないでしょうか。
公立高校の校舎にも関わらず、その外観は京都駅を思わせる近代的な造りをしています。一階から四階までの吹き抜け空間があり、四階のワンフロアに三学年すべての教室が揃っています。教室は黒とグレーを基調とした空間に、高い天井、解放感のある大きな窓からは広島城を眺める事が出来ます。また教室内に備え付けられている個人ロッカーも、非常にシンプルな造りです。
男女お手洗いがまた京都駅を彷彿とさせるもので、完全に黒を基調とし、黒大理石に囲まれた、近代的かつ重厚な造りになっています。
特筆すべきは、四階から渡り廊下を渡った先にある美術棟です。創造表現コースという美術系の科が主に使用する教室があり、全長80mに及ぶ、広々とした展示スペースがあります。黒大理石の中庭には観葉植物が並び、まさに美術館のような空間が広がっています。
高校なので普段はもちろん校舎を見学したりする事は出来ませんが、文化祭などを利用すれば、その中まで見学する事が可能です。
建築の好きな方には、ぜひ訪れて頂きたい校舎です。
文:くまくまこ
京都の玄関に広がるのは近未来空間
古きよき…伝統の…しっとりした…。そんな京都のパブリックイメージを嘲笑っているようだ。実際、京都には古い街並み、建物が多く見られるが、そこへ繋げてくれる玄関がこんなに近代的、未来的な空間だなんて少し頭が混乱する。
1997年、原広司によって設計されたJR京都駅。とりあえず言っておこう。「斬新なデザインである」と。
京都の空や街並みを映すガラス張りの壁面をしたスタイリッシュな表の顔をくぐり抜けると、目に飛び込んでくるのが中央コンコースの巨大なアトリウム。ここで実に印象的なのが、開放的なその空間に唐突に存在する2つの丸いステージ。1階から見上げると得体の知れない不思議な造形が浮かんでいるという意味不明さに不安な気持ちにさせられるのが憎い。洒落ているのか滑稽なのか、感じ方は人それぞれあっていいだろう。
他に類を見ない171段という巨大階段の先には京都室町小路広場と呼ばれるスペースが広がり、イベント等が行われる際には階段を客席にしてしまうのだ。駅の中にこんなものがあるとは。
案の定、京都の雰囲気に似つかわしくないといった意見があるようだが、いかにも京都!的な古めかしくて落ち着いた駅など想像を超えなくてつまらなかっただろう。
文:ウぇるビス
インパクトがあるが街に溶け込むデザイン
私が関西に住んでいるので、原広司さんのインパクトがある2つの代表的な建築物をよく目にします。
1つ目は大阪の「梅田スカイビル」です。地上40階、地下2階の2棟からなる超高層ビルディングで最頂部で2棟が連結されているという世界でも例を見ない大変インパクトのあるデザインです。いまや大阪のランドマークとして国際的な知名度を誇ります。
この2棟連結部分は空中庭園となっており、建築途中から大きな話題を呼びました。連結部分の空中庭園をワイヤで釣り上げて、一番上で固定するリフトアップ工事がマスコミで紹介されました。この地震にも耐えうる高度な技術は世界的にも評価され、イギリスの出版社ドーリング・キンダースリーが選ぶ「TOP 20 BUILDINGS AROUND THE WORLD」の一つに歴史的建造物と共に選ばれました。
もう一つの建築物はJR京都駅です。最初見た時は何と京都にそぐわない巨大な建造物が出来たんだと感じました。しかし時間を経ると不思議なことに京都の街に溶け込んだ京都の入口にふさわしい雰囲気を醸し出しています。
古都であるのに東京駅とは相反するデザインで世界にも類をみない巨大なコンコースをはじめ、日本で初めて見る171段の階段ステージ、巨大なガラス面に京都の街並みが映り込むシルエット等どこに行ってもどこから見ても原広司の世界が感じられる世界です。
文:DANLI
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