アールヌーボーのここがすごい!
ジャポニズムから端を発したデザイン
19世紀末。ヨーロッパで新しいデザインが大流行しました。
装飾性で平面的。当時流行していたジャポニズムから端を発したそのデザインは、主に日本美術を扱っていたパリの美術商の名前で呼ばれることになります。
それが「アールヌーボー」でした。
植物のつたからヒントを得た優美な曲線を多用し、ジャポニズムから離れて発展して行きます。
そのデザインの流行はアルフォンス・ミュシャのポスターをはじめ、工芸や建築などにも広がっていきました。
特に建築の世界では広く取り入れられました。というのも、それまでの建築は過去の様式から発展させたものばかり。
それだけにアールヌーボーという新しいデザインの建物は多くの人々を魅了したのでした。
優美な曲線を多様した美しい住宅がヨーロッパのあちこちに建てられ、その一部は博物館などになって今も残っています。
(ベルギー「オルタ博物館」など)
特にパリでは地下鉄の駅にアールヌーボー様式を多く取り入れました。
美意識の高いパリの人々にとって、優美なアールヌーボーは特に受け入れられやすいものだったのでしょう。
その一つは今でもパリの景観に溶け込んで、街角を彩っています。
ヨーロッパ中を圧巻しながらも、アールヌーボーの歴史は短いものでした。
50年も経たずに飽きられ、やがては装飾過剰な悪趣味とまで酷評されてしまいます。
しかしながら建築をそれまでの伝統から解放した役割は大きいものでした。
建築家たちが伝統にとらわれることなく、新しいスタイルを次々と打ち立てて行くきっかけとなったのです。
そして現代。アールヌーボーの美しさは再評価され、揺らぐことなく私たちの目を楽しませてくれています。
文:小椋 恵
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