ヤーコブ・ヨルダーンスの作品紹介
「豆の王様の祝宴」は見ているだけで明るくなる絵画です。
約10年前、私が大塚国際美術館で絵画を見た時に、一目見て「何て明るい雰囲気の絵画なんだろう」と一目惚れしたのがこのヤーコブ・ヨルダーンスの「豆の王様の祝宴」です。右側にいるお酒を飲んでいる豆の王様を中心に皆がウキウキとしている様子がよく伝わってきます。
この絵に一目惚れした私が驚いたのは「豆の王様の祝宴」はただ明るいだけの絵画ではなかったという事です。
というのは、この絵の上には「酩酊してしまった人ほど狂人に近い人はいない」という意味の銘文が描かれており、この銘文からこの絵に出てくる人達は人が変わってしまうほど大はしゃぎして飲み過ぎてしまっているという事がわかります。
ただ、この絵画に描かれいる日はネーデルラントではかなりおめでたい日で、この日ばかりは大騒ぎをするのが習慣になっていたそうです。
普段はここまで酔ったりはしゃいだりはしないけど、この日だけは大はしゃぎをするいきいきとした人々をヤーコブ・ヨルダーンスは厳しい銘文と一緒に描いてはいるけれど、暖かい目で描いていると思います。
お酒を飲んではしゃぎ過ぎるのはよくないという意味だけの絵ならもう少し暗いイメージで描いた方が伝わると思うからです。
この絵に少しだけ見える青空からもヤーコブ・ヨルダーンスが厳しさと愛情の両方を持って祝宴の人々を描いていると考えます。
文:るるるるん
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