ロレンツォ・ロットのここがすごい!
対象の内面へと深く迫って行く画家
ロレンツォ・ロットは、16世紀のイタリアを代表する画家で、おもに宗教画家としての活動が有名ですが、肖像画も数多く発表しました。
ロットの描く作品は、どれも登場人物の内面や心情が迫ってくるような表現力と深い洞察力に満ちたものばかりで、数々の作家が手がけてきた宗教画のモチーフでも、まったく違った大胆な構図と設定の作品として生みだされました。
代表作の「受胎告知」をとって見ても、独創的で大胆な構図がよくわかります。
この有名なシーンは数多くの絵画で描かれています。どの作品でも神聖で神々しく、畏怖の念と恭しい表情が見て取れる聖母マリアですが、このロットの作品はまるで違います。
大天使ガブリエルのお告げに驚き、逃げ出すかのように背を向け、こちら側に動き出そうとしているように見えます。
他の受胎告知を描いた作品にはない、とても人間的な姿と心情を描き出しています。この深い洞察力にあふれた表現は、その当時の宗教画としてはとても大胆で、独創的な表現方法でありました。
ロットの描いた数多くの肖像画もまた、彼の深い洞察力と表現力を証明するかのような素晴らしい作品ばかりで、対象の内面へと深く迫っていく姿勢は、同時代の画家たちとは一線を画すものでした。
文:あやぱみゅ
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