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ポール・ゴーギャンのここがすごい!
メッセージある風景—ポール・ゴーギャン—
『我々はどこから来たのか、我々は何者か、我々はどこへ行くのか』
このフレーズだけは、誰もがどこかで聞いたことがあるのではないでしょうか。ポスト印象派の画家、ポール・ゴーギャンの代表作の名前です。
ゴーギャンの作風最大の特徴は、そのメッセージ性の強さです。構図や配色に宗教画の影響を受けており、風景や静物を描いていても単純にそこにある物を描くのではなく、そこにある物を通して何らかのメッセージを訴える作品を数多く残しています。
前出の『我々はー』の作品の中には赤子から老人が時系列を経るように並んで描かれており、ゴーギャンが捉えた生死観を感じさせます。この作品が壁一枚の大作であることもあって、見る者に強く訴えるメッセージを感じます。
『収穫』のように純粋に牧歌的な美しい風景を描く技術を持ちながら、『ブドウの収穫、人間の悲惨』のように人間の内面を抉り出すような絵画も手掛ける。この二面性がゴーギャンの最大の魅力と言えるでしょう。事実を捉えるだけでなく、その裏にある感情や空気感を敏感に感じ取る鋭い感性があっての作風であると言えます。芸術を志すも、都会の喧騒を離れタヒチに移り住んだゴーギャン自身の心の揺らぎが作品から滲んでいるのかもしれません。
そこにある風景のようで、精神世界のようでもある。そんな不思議な世界観が、ゴーギャンの作品には溢れています。
文:まさむね
ゴーギャンは、今なお多くの人々を魅了する芸術家です。
ポール・ゴーギャンは、どこか神秘的な作風が魅力的な芸術家です。浮世絵の影響を受けており、日本ともとても縁が深いです。
私は、ゴーギャンの絵の中でも「我々はどこからきたのか我々は何者か我々はどこへ行くのか」という作品が大好きです。この作品は、ゴーギャンが己の全てを注いで書いた大作で、横に3.5メートルととても大きいです。自身の悩みや苦しみといった精神世界を描いていると言われています。タヒチで描かれた作品で現在はボストン美術館に飾られています。
ゴーギャンは、11歳から16歳まで神学校に通っていました。そこでの問いは彼の心のどこかにずっと残っており、その問いがこの絵に大きな影響を与えていると言われています。
また、この作品を描いている時、彼は経済的に苦しんでいた上に病気や愛娘の死と最悪とも言ってもいい環境でした。この作品を描いた後死ぬつもりだったそうで、その時の全てをかけているという気迫がこの作品を通して伝わってきます。
「我々はどこからきたのか我々は何者か我々はどこへ行くのか」には様々なモチーフが使われており、ゴーギャン自身もその問いに対する明確な答えを出していません。だからこそ見る人一人ひとり違う感想を持つ事ができる魅力的な作品になっていると思います。
文:るるるるん
ゴーギャンの基本情報
異文化を積極的に取り入れた作家
ゴーギャンはフランスを代表するポスト印象派の画家で、多数の独創的な魅力にあふれる絵画作品を発表しています。印象派の画家たちとの交流も深く、ゴッホとは共同生活を送っていたこともありましたが、ゴッホの精神状態の悪化が原因となり、わずか9週間でこの同居生活は解消されてしまいます。その頃から、西洋文化への希望を失っていたゴーギャンは、理想の芸術が実現できる場所を求めて、南国タヒチへと渡ります。
タヒチでのゴーギャンは、現地の少女を描いたり、現地の宗教行事を描くことで、積極的に異文化を自身の作品に取り入れていきました。この頃の作品は、南国の太陽の下で輝くような、鮮やかで情熱的な色彩で描かれています。タヒチの歴史に触れ、触発されたゴーギャンは、絵画だけでなく彫刻作品も制作し、滞在中に数十点の作品を制作するなど創作活動に打ち込んでいました。
タヒチで制作した作品を発表するために、一時フランスに帰国しますが、ゴーギャンのタヒチでの作品はフランスではあまり評価を受けず、パリで孤立する結果になってしまい、再びタヒチに滞在することになります。絶望に暮れながらも現地の文化を取り入れた独創的な作品を数多く制作し続け、それは今日にも大きな影響を与え続けています。
文:あやぱみゅ
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