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モーリス・ユトリロ

ユトリロのここがすごい!

色彩で内面を表現した画家

モーリス・ユトリロはフランスの画家で、独特の哀愁が漂う風景画を数多くのこした作家でもあります。
ユトリロは若い時分からずっと精神不安とアルコール依存症に苦しめられてきた人生を送ってきました。そのためか、ユトリロの初期の作品には色彩があまりなく、白く不安げな佇まいの建物が印象的な哀愁漂う風景画が多く見られます。ユトリロは「白の画家」とも呼ばれたほど、その作品に白色を多用しました。どこか朧ろげで不気味な印象さえ受ける白い建物が並ぶ風景画は、彼の当時のアルコールに蝕まれ、荒廃していた内面の象徴だったのかもしれません。
アルコール依存の治療のために絵を始めたユトリロですが、治療のかいあってか、後に依存性と精神不安には回復の兆しが見られることとなります。心身の安定を取り戻したユトリロの作品には、その時の心の状態が如実に表現されたかのように、温かみのある色彩で満ちていました。しかし、晩年に近づくにつれ、再び精神のバランスを崩しがちになったユトリロは、生活は荒廃していくものの、色彩への探究心を忘れることなく創作に打ち込み、今日にも残る数々の名作を発表し続けました。
ユトリロの作品のこの色彩の劇的な変化は、それぞれ「白の時代」「色彩の時代」と呼ばれています。

文:あやぱみゅ

ユトリロの作品紹介

孤独と絶望の中で見出した詩情『コタン小路』

一見すると、何でも無い風景画です。
技術的にも、稚拙とまでは言いませんが決して卓越しているわけでもありません。
それなのに、この絵を見たときの胸のざわめきは何なのでしょう?
モーリス ユトリロ作。『コタン小路』

ユトリロは1900年代初期にパリで活躍した画家でした。
というよりもむしろ、その生涯のほどんどをパリで過ごした画家でした。
精神病院にいた期間以外は。
酔いどれ画家と呼ばれたユトリロは、17歳の時にはすでにアルコール中毒に陥っていました。
お針子と画家を両立させた母の私生児として生まれ、預けられた祖母には幼少時からお酒を飲まされて育ったのです。
アルコールに蝕まれた精神と、父のいない悲しみ。
最愛の母は離婚と結婚と繰り返し、何度目かの『父』は自分よりも年下という事もあった―
その孤独の中、アルコール中毒の治療のためにとユトリロは絵を描き始めます。
最初は医者に勧められて。
やがては自分から、精神の安定を求めて。
ユトリロが描いたのはパリの風景ばかりです。
しかしそのパリは華やかなエッフェル塔でもムーランルージュでもありませんでした。
言われなければパリだと分からないような、ありふれた路地ばかり。
それはアルコールが切れて精神が安定している時にユトリロが見た、パリの風景だったのです。
唯一の友人も妻でさえも埋めてくれることのない孤独を抱えた酔いどれ画家は、その想いをキャンバスにぶつけます。
酩酊時の大暴れ(何度も警察のお世話になっています。)と冷めたときのおだやかな人格を行き来きして72年の生涯を終えました。
この酔いどれ画家にとっては、描くことだけがせめてもの心の慰めであったのでしょう。
だからこそ、ありふれた風景をこうも詩情を込めて描くことができたのではないでしょうか。

文:小椋 恵

「ノートルダム」は教会の荘厳な美しさを感じる素晴らしい絵画です。

ユトリロの「ノートルダム」は、ノートルダム教会の荘厳な美しさを感じる事ができるとても素晴らしい絵画です。私は、以前大塚国際美術館でこの絵画を見た時に一目でこの絵画のほの暗く、でも美しい魅力に惹かれずっと見ていた事を覚えています。

モーリス・ユトリロは、パリ出身でエコール・ド・パリの画家として世界中に知られている画家です。激情家で性格に問題があったと言われ、若いころは場に馴染めなかったりと色々と学校や職を転々としていたそうです。アルコール依存症で病院へ入院した後に本格的に画家としての活動が始まります。モンマルトルでは非常に有名人だったそうで、酒場に行けば彼に出会えると言われたほどお酒が好きで、でも飲んでは暴れていたそうです。ですが、孤独で愛を求めていたユトリロを愛した人は多く、彼が亡くなった時はたくさんの人が葬儀に訪れたと言われています。

「ノートルダム」は、1914年に制作された絵画です。現在はパリのオランジュリー美術館に所蔵されています。ノートルダムのほの暗い色使いから、ユトリロの孤独感がよく伝わってきます。また、ユトリロはめったに人物を描かなかったと言われていますが、この絵画にも描かれていません。人がいるはずの美しい教会に人が全くいない事で、よりユトリロの孤独感が強調されていると私は思いました。

文:るるるるん

「ラパン・アジル」は、彼のパリに対する深い愛情を感じる一枚です。

モーリス・ユトリロの「ラパン・アジル」は、彼にとってとても大事な場所を描いた、とても美しい一枚です。当時のこの場所が色鮮やかに描かれています。
ユトリロは、未成年のうちからその家庭環境等の影響でお酒に逃げるようになってしまいます。そのお酒を飲んでいた場所がこの「ラパン・アジル」です。精神をリラックスするために飲んでいたと言われていますが、本当に心の底からリラックスできていたという事がこの「ラパン・アジル」のタッチをみると分かります。

ユトリロは同じ構図で「雪のラパン・アジル」も描いています。この絵画は、とにかく雪のホワイトが美しい絵画です。この「ラパン・アジル」とはまた違った魅力があり、いかにユトリロがこの場所を愛していたのかが伝わります。
他にもユトリロはこのラパン・アジルを様々なタッチや色合いで作品として描いています。店内の様子も描いており、当時のラパン・アジルをユトリロを通して様々な面を知る事ができます。画面に描かれていない事を想像するのもまた楽しいです。

ユトリロがパリを愛したように、後世の芸術家や芸術を愛する人がユトリロを愛し、未だにユトリロの面影を求めてここを訪ねる人が後を絶えないそうです。愛には愛が返ってくる、そんな事を思わせてくれる一枚です。

文:るるるるん

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