ジョージ・フレデリック・ワッツの作品紹介
「希望」 – 寓意的な作品の中に人生の真実をうったえる
地球のような物体の上にたたずみ、一心に竪琴の音に耳を傾ける一人の少女。少女の目には目隠しなのか包帯なのか何かがまかれ見ることはできません、しかも竪琴はほとんどの弦が切れており残る弦は一本だけ…
どこか痛々しい感じすらするこの絵はラファエロ前派の画家ジョージ・フレデリック・ワッツ、後期の傑作といわれるものです。
一見すると暗い色調で神秘的な雰囲気ただようこの絵画に「希望」という題がつけられたことに首をかしげたくなります。
しかしこの絵は、希望とは、明るく輝く場所にあるのではなく、絶望的な状況のなかにかすかに見える光こそが真の希望なのだと訴えてきます。人から希望を取ったら何が残るのか。過酷な社会を生き抜いていくために希望がどんなに力をもつのか。自分にはどんな希望があるのか、この絵を見ているとそんなことを考えさせられます。
少女は竪琴の音に耳を傾けます。
最後の一本は今にも切れてしまいそうなはかない音かもしれません。それでもその音色に耳をそばだて、感じられるうちは喜びを感じることができる。人間が人間である以上、そして、現実が厳しいものであればあるほど、この絵はこれからも人を惹きつけてやまないことでしょう。
文:どど
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