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伊藤若冲

伊藤若冲はここがすごい!

江戸時代の異端児!伊藤若冲

緻密なタッチと目にも鮮やかな彩色技術が伊藤若冲の持ち味です。インパクトのある構図や切り取り方は、一目見たら忘れられないほど。
伊藤若冲の作品には、動物をモチーフに描いた絵が多くあります。特に鶏がお気に入りで、さまざまな角度や色彩で描かれた鶏図が多く残っています。
伊藤若冲は「奇才」、「異端児」などと評されることからも分かるように、先進的な表現技法を得意としています。西洋画に用いられるモザイク風な描き方である「桝目描き」手法の作品であったり、ゆる〜い漫画的な表現で描かれた「ゆるキャラ」タッチの作品まで幅広くあります。この2つの要素を一枚の絵におさめたのが「虎図」です。桝目書きの手法が使われ、主役の虎は何とも愛らしいコミカルな表情をしています。
従来の日本画のイメージをひっくり返すような斬新な表現方法が、若い世代の人たちからも支持を集めています。江戸時代中期に活躍した伊藤若冲の作品が、時代を超えて新鮮さをもって受け入れられているのは驚きの一言です。

【虎図】 あしをなめるトラ

ひたすら絵に打ち込むことに人生をささげた若冲。生涯を通して絵に生きた、彼の高い精神性が作品にも表れているようです。それがこんなにも私たちをひきつけてやまないのではないでしょうか。

文:kota3

花鳥画はものすごく写実的で細かい描写がリアル

伊藤若冲は江戸時代中期に京都で活躍した日本の代表する画家です。

京都の錦小路にある青物問屋の長男として生まれていますので、かなりのお金持ちの家のおぼっちゃんです。

しかしながら、家業には全く興味を持たずにいました。お父様が亡くなれてからは長男なので4代目を襲名するが、商売はあまり熱心ではなく、絵を描くこと以外全く興味を持たなかったとのことです。商売だけでなく、世の中の芸事にもおかねもちではあるが全く興味がなく、お酒もほとんど飲まず、奥さんもいない、とても変わった人物が若冲です。

しかし、彼の描く絵、花鳥画はものすごく写実的で細かい描写がリアルです。本物そっくりで驚かされます。若冲は狩野派の画法に通じた後に、そのがほうは捨てて、実物写生に移行しました。なぜこのように鶏や花などが事細かくリアルに描く才能があったのかというと、もちろん、もともと生まれながらに備わった能力でもあるのですが、若冲は、芸事もお酒も、女性にも無関心だったので、当然友達もほとんどいないし、誘われても興味がない。そんななか、家で飼っていた烏骨鶏たちや花などを毎日眺めては絵を描くという事を続けていた結果でしょう。毎日毎日飽きずに動き回る鶏や咲いている花などを描いていた所、驚くほど卓越した絵となったのです。

画風の華やかさとは裏腹で、毎日地味に過ごしていたのが笑えます。ですが、色鮮やかな世界を描くのでとても不思議でもあります。

文:mario s

未来から来た天才細密画家「伊藤若冲」

伊藤若冲は江戸時代の細密画の画家です。伊藤若冲展は2、3時間の待ち時間が出るほど大盛況でした。なぜ江戸時代の画家にそれほど注目が集まっているのでしょうか?
この伊藤若冲の凄さは、人間技とは思えないその絵の技法にあります。伊藤若冲は「自分の絵のすごさは千年先の人には分かる」と言った内容の言葉を残しています。
最近になってその絵を電子顕微鏡で分析した結果、その超絶技法が解き明かされました。
まず若冲の絵には下書きをした線が一切見当たらないこと。さらに鳥の羽の細い白い線。これが0.2mm間隔で一本も重なることなく、すべて等しい感覚で描かれていること。人間のなせる業とは思えません。想像を絶する集中力を持って描いた絵だという事になります。
また伊藤若冲の描き方で「升目書」という技法があります。これは9ミリ四方のマス目をキャンバスに書き込み、その1枚1枚をタイルのように色を付ける方法です。これはまさに現在で言うところのドット絵です。デジタル時代を予見するかのような絵です。
この升目書で描かれた絵は光を当てる方向によって違った輝きを見せます。これはCDなどに見られる構造色そのものではないでしょうか?
千年先の未来を予言するような彼の絵は、好き嫌いを超えて私を引き付ける絵です。

文:ビッケ

伊藤若冲の作品紹介

モザイク模様の動植物の楽園「鳥獣花木図屏風」

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「鳥獣花木図屏風」は江戸時代中期に京都で活躍した画家、伊藤若冲の代表的な作品の一つです。
この作品は、正面を向いた白象が印象的な動物たちの右隻と、羽根を広げた鳳凰と鳥たちの左隻を対にし、六曲一双で構成されています。
動植物の楽園の世界を仏教的な要素を含ませて、色鮮やかに独創的に描いています。

タイルを敷き詰めて出来たようなこの作品は、方眼の桝目を埋めていく「桝(ます)目描(めがき)」と呼ばれる技法を駆使しています。
桝目の数は一隻およそ四万三千個もあり、気の遠くなるような緻密な作業を何度もくり返して出来上がった大作です。
若冲のこのような桝目描作品は全部で三点現存しています。

この作品は研究者やコレクターのあいだではいろいろと議論がなされています。
なぜかというと、作者を示す署名や印章などがないからです。
桝目描作品三点の一つ「白象群獣図」に若冲の印章があり、この特徴的な描法は、若冲が西陣織の下絵にヒントを得て生み出されたものと考えられます。

しかし、三点それぞれ少しずつ差異があり、そのことによって、この作品が若冲単独で描いたのものなのか、若冲ほか数名の弟子たちと描いたものなのか、はたまた若冲の技法を用いて弟子たちだけで描いたものなのか、今のところ分かってはいません。
しかし、日本美術を代表する傑作のひとつであることに変わりはありません。

文:こまたな

江戸時代の超前衛アート「鳥獣花木図屏風」

近年その人気が高まっている「伊藤若冲」。
アートの事はそんなに興味がないという人でも、名前は聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
伊藤若冲は江戸時代中期に京都で活躍した絵師ですが、今やその人気は、展覧会が開催される度に長蛇の列ができるほどの人気ぶりです。
しかし、生前には有名であった若冲も、しばらく日本ではあまり注目を浴びていませんでした。
そんな中、若冲の人気に火をつけたと言っても過言ではないのがコレクターの「ジョー・プライス」です。
プライスコレクションと銘打った展覧会も開かれるほどで、多くの若冲の作品もコレクションされています。

そしてその伊藤若冲の作品の中でも有名なのが「鳥獣花木図屏風」です。
この作品は、8万6千個とも言われる小さな四角のマス目を彩色するという、途方もないような作業を行ったもので、
大きさは6曲1双の縦約168p×横約374pという大きな作品です。
実はこの作品、宇多田ヒカルさんのPVにも登場するのですが、それがとてもかっこよく、
江戸時代の作品としては異色の作品といえます。
描かれている動物も白象をはじめ、様々な動物が生き生きと描かれていて、色彩も独特で青や白や朱を用い鮮やかです。
近年高まる若冲人気、ぜひこの「鳥獣花木図屏風」を切り口にその世界をのぞいてみてはいかがでしょうか。

文:siratama

これも若冲!白黒でマンガ的な『鶴図屏風』

伊藤若冲は江戸時代中期に活躍した画家で、その対象物を不気味なほどリアルに描く画家として知られています。でも実はそれだけではないようで、かなりマンガに近いというか、対象物がデザイン化されたように感じる作品もあります。そのひとつが『鶴図屏風』。ここに描かれている鶴はまるで一筆描きでもしたかように描かれており、そのせいか鶴たちがちょっぴりコミカルにも見えます。そして鮮やかな色彩はなく、白と黒の墨絵として屏風に仕上げているので、コミカルでありながらも静けさの漂う作品になっています。羽などを細部まで描き込み鮮やかな色彩で仕上げた、これぞ若冲!という鶴の絵もあるので、『鶴図屏風』と対比しながら見てみるのもおもしろいのではないでしょうか。不思議なことに、すらりと伸びた首、さらりと丸く描かれた背中、かくりと曲がる足・・・鶴の特徴が簡略化されて描かれている墨絵の方が、ずっと鶴の鶴らしさというものを感じてしまいます。若冲の絵の上手さももちろんありますが、ものを見るときに占めるイメージの割合というのはかなり大きなものなのかもしれませんね。わたしたちが持つそういった感覚の深い部分をさらりとあらわにしてしまう、伊藤若冲はそんな魔術師のような画家とも言えるのではないでしょうか。

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文:キャッチリバー

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