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ルーベンス作品紹介
エウロペの略奪
世界的に有名なスペインのプラウド美術館に貯蔵されている、17世紀のフランドルの巨匠ルーベンスのエウロペの略奪という絵画は圧倒的な迫力を感じさせる見事な絵画です。フェニキアの女王エウロペに恋をした全能の神様ゼウスが、牛に変身して、王女の姿も牛に変えて連れ去ってしまったというギリシャ神話が描かれたものです。王女が略奪されたルートにあたった土地をいまではエウロパと(ヨーロッパ)と呼ばれています。
このようにギリシャ神話を描いた絵画は多数ヨーロッパにはありますが、略奪というタイトルはかなり激しいタイトルです。
そして絵画をみると王女エウロペの白い衣服はすでに衣服のかたちをしておらず、ただの布きれ同然になっており、長い長い髪の毛は黒い海にまで垂れさがって、まさに男性に略奪されている最中の絵です。赤い布は誰かに必死で助けを求めているのもなまなましいです。いまでこそ、裸などはアートだとされている現代ではない昔の作品は意外にも女性の裸を描かれたものも多く、日常のタブーは絵画にしてしまえば許されるという世の中だったことがうかがえます。
この略奪というタイトルのように、この絵画はフェニキアからヨーロッパ、そしてアメリカへと渡っています。収集家が自分勝手に売りに出してしまったそうです。絵画そのものも略奪をくりかえされていることに驚きです。
文:mariko s
「マリー・ド・メディシスの生涯」の生涯は、24枚もの絵画からなる大作です。
ルーブル美術館にあるピーデル・パウル・ルーベンスの「マリー・ド・メディシスの生涯」は、24枚もの絵画からなる大作です。
私は、その連作の中で「マリー・ド・メディシスのマルセイユ上陸」と「サン・ドニ大聖堂におけるマリー・ド・メディシスの戴冠式」の2枚を大塚国際美術館で見る事ができました。
両方共細かい所までしっかり描き込まれている大作で、ルーブル美術館でこの大きさと画力の絵が24枚ずらっと並んでいる姿は壮観だろうなと思いました。
作者であるルーベンスは、1577年にヨーロッパのフランドルで生まれた画家兼外交官です。フランドルとは、現在のベルギー、フランス、オランダにまたがる土地の事です。彼は約60念の生涯で神話や寓意画、肖像画等様々な素晴らしい絵画を残しました。
マリー・ド・メディシスとは、当時のフランス皇太后で、彼女はパリにあるリュクサンブール宮殿に飾るためにルーベンスに自身と前フランス王ですでに逝去している彼女の夫アンリ4世の生涯の制作を依頼しました。この24枚はそのうちのマリー・ド・メディシスの生涯を描いたもので、神話をモチーフにして見事に描き上げています。アンリ4世の生涯も描いていたそうですが、そちらは残念ながら下描きで終わってしまったそうです。こちらも完成していれば、素晴らしい連作になっただろうにと残念に思う人はとても多いと思います。
文:るるるるん
ルーベンスの「サムソンとデリラ」はとても美しく、そして悲しい傑作です。
ルーベンスの「サムソンとデリラ」は、サムソンとデリラの二人を描いた絵画の中でもっとも美しく、そして悲しい絵画だと私は思います。一見、慈愛に満ちた表情のデリラとデリラにもたれかかり安心しきって眠っているサムソンは、この一枚だけ切り取ってみれば二人は愛し合っているんだなと思う事ができます。ですが、旧約聖書で彼らの物語を知っているとこれほど残酷で悲しい絵画もそう無いと思います。旧約聖書の士師記でデリラはサムソンを裏切り、サムソンの力の秘密である頭髪を眠っている間に切り、力を失ってしまったと書かれています。その後、力を失い敵対勢力に目を抉られるサムソンですが、神の力により力を取り戻し、その力で多くの人々を道連れに自分も死んでしまいます。その後のデリラについては一切の詳細が分からないそうです。
「サムソンとデリラ」は、1610年にルーベンスが制作した傑作です。サムソンとデリラは、裏切り者のデリラを非常に狡猾で冷たい女性に描く画家もいれば、このルーベンスのように複雑な表情で描く画家と人によって描き方が様々です。なのでこの二人を題材にした絵画は見ていてとても面白いです。
このデリラはサムソンを酔わせ、サムソンが熟睡しているところを別の男性が髪の毛を切っている場面を描いています。そこに愛があったのか、無かったのかを空想するのはとても楽しいです。
文:るるるるん
「パエトンの墜落」は非常に躍動感のある絵画です。
ピーテル・パウル・ルーベンスの「パエトンの墜落」は絵画の中でもこれほど躍動感があるものはなかなか無いのではと思うほど全ての登場人物や動物の動きが激しく描かれています。
私は初めてこの絵を本で見た時その躍動感に驚きしばらくずっと魅入られました。そして強く「本物をいつか見てみたい」と思いました。この絵はもちろんですが、ルーベンスの絵には全てそれほどの魅力があります。
この絵画は1604年から1605年にかけて描かれました。現在はワシントンのギャラリーに所蔵されています。ワシントンに住んでいる人はこの素晴らしい絵画をいつでも見る事ができるので、心底羨ましいと思いました。
タイトルになっているパエトンは、ギリシャ神話の登場人物です。そしてこの場面はギリシャ神話の主神・ゼウスがやむなくパエトンを撃ち殺すシーンです。パエトンは他の神々に自分が太陽神の息子である事を証明するために太陽神に直接太陽の戦車に乗りたいと願い出ます。主神ゼウスですら乗りこなすのが難しいと言われている太陽の戦車ですが、何度も懇願され太陽神はやむなく許可を出してしまいます。そして案の定太陽の戦車は暴走を始めてしまい、地上にまで悪影響を及ぼしてしまいます。そこで、やむなくゼウスはパエトンを撃ち殺すようにしたのです。
ただ太陽神の息子であるである事を証明したかっただけ、ただそれだけなのに大きな悲劇になってしまいました。この躍動感がその悲劇をさらに強く見せていると私は思います。
文:るるるるん
ピーテル・パウル・ルーベンスのの基本情報
経歴
ピーテル・パウル・ルーベンスは、バロック期のフランドルの画家です。
風景画家フェルハーヒト、アダム・ファン・ノールト(ルーベンスと同様に有名なフランドル絵画の巨匠ヤーコブ・ヨルダーンスの師で義父)、ファン・フェーンと三人の師から絵画を学び一流になりました。
また、頭脳優秀でその他にも外交官の仕事もしていました。そのため色んな国の言葉(七ヶ国語)が堪能でした。
最初の奥さんの名前がイザベラで、次の奥さんの名前がエレーヌ・フールマンです。
最初の奥さんとの別離の原因は死別でした。奥さんが不幸にもその当時の流行の病気のペストになったのです。
アントウェルペンの大きなルーベンス工房が有名です。そこでは、お弟子さんもたくさん働いていたそうです。
欧州大学院大学の奨励金制度の名前にもルーベンスが選ばれました。
バロック絵画の巨匠と言われていて、活躍時は宮廷画家で、たくさんの宗教画や肖像画を制作していました。
ルーベンスは、ルネサンス芸術を研究しながらも、イエズス会とも関わりが深くキリスト信者のようでした。
その他にも90億円もの値段がついたことがあるという「幼児虐殺」も有名です。(2002年、ケネス・トムソンによって4950万ポンドで落札され、史上もっとも高額で取引された絵、作品は1点限りではなくて複数点あります)
人生の最晩年期に当たる10年間をアントウェルペンとその近隣で過ごしたそうです。
代表作品
代表作品は、「花輪の天使」「キリスト昇架 」「マリー・ド・メディシスの生涯」などです。
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