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エミール・ガレ

エミール・ガレのここがすごい!

ガラスに命の躍動を吹き込むガレの作品

エミール・ガレのデザインは、誰でも一度はどこかで目にしているのではないでしょうか。フランスのアールヌーヴォーを代表するガラス工芸作家であるエミール・ガレ。その特徴は、なんといっても動植物をはじめ自然界の躍動感を吹き込んだかのようなガラス作品の数々です。

アイリスやスミレ、チューリップといった花々のモチーフをいきいきと施した花瓶。今にも動き出しそうなトンボや蝶、蟷螂がついたガラス器。妖しげなきのこを模したランプ。美術館でガレの作品に出会うと、生物への造詣の深さと表現力の豊かさに驚かされ、心を動かされます。

19世紀の後半、機械化の波に伴って工業製品が広まるのと同時に、職人たちが生み出す手仕事の美しさや生活の中にアートを取り込む動きが高まっていました。ガレのガラス製品はこの流れを汲んでおり、まさに日用品でありながらアートであるところに大きな魅力を感じます。ガレは詩人であり、その詩情をガラスという可塑性のあるマチエールに込めるという方法を編み出した人物といえるでしょう。

日本人の感性とガレの感性は親和性が高く、日本でもたくさんのガレの作品を観ることができます。北澤美術館やサントリー美術館をはじめ、良質なガレのコレクションを持つ美術館がたくさんあります。ぜひ、本物のガレの作品に触れて、生命の躍動感やガレの詩情を感じていただきたいと思います。

文:からすうり

ガラスのなかに蜻蛉を飛ばせてしまったガレ

ガレは1846年、フランス北東部のナンシーで生まれました。父親はネオ・ロココ様式の家具や陶器製作の仕事をしていたという事なので、ガレは幼い頃からガラス工芸になじんでいたことでしょう。
 
当時、人々の心を掴んでいたアール・ヌーヴォーの美的感覚と日本の美術工芸が、彼に多くの影響を与えたであろう事は、その作品からもうかがい知れます。しかし、それらを越えて独自の世界を創り上げていったのは、ガレの「自然をみつめる真摯な心」にあったと思います。
 
この美しいフォルムと色彩が、どうしてガラスで繊細にまた重厚に創れたのかと、溜め息が出てしまいます。試行錯誤ののちにマルケットリーをはじめとする色々な装飾技法を生み出し、立体的な花や虫を添わせ、そのデザインは工芸を芸術の域にまで高めました。そんなガレは、対象となる花ひとつとっても、ただ美しいひと時だけを見つめていたので無く、生から死まで全てを愛していました。ですから、今一番美しい盛りの花や虫の姿を切り取っていても、その作品からは気高さや自然へのやさしいまなざしがにじみ出てきます。

自宅に植物園のような庭を造ってしまった彼は、ガラスのなかにも自分の世界を創り上げてしまったようです。そんな事を考えながらガレの作品を眺めるのも楽しいです。

文:ブルーベリー

ガラス細工のアールヌーボー

19世紀末。ヨーロッパ中を駆け抜けた新しい芸術スタイルのアールヌーボー。
そのスタイルは産業革命で生まれた大量生産の製品にどこか疑問を持っていた当時の人々に、広く受け入れられたのです。
そのアールヌーボーを最初にガラス製品に取り入れたのが、エミール・ガレでした。
フランスのナンシー地方でやはり19世紀末に生まれたガレ。
父親がガラス工房の職人だったこともあり、当然のようにガラス工房の道に進みます。
しかし、父の意向によりさまざまな教育を受けさせられました。
リセ(高等中学)から始まり、ドイツ留学。
特にこのドイツ留学では哲学や文学の他、鉱物学や植物学も学びます。その他に建築や室内装飾の塾にまで通いました。
そういった豊かな知識と教養が、後の美しいガラス工芸作品として結晶していくのです。
ガレはガラス職人であり、デザイナーであり、ガラス工房(小規模の制作会社)の社長でもありました。
(のちに家具工房も設立し、美しい家具を多数残しております。)
当然、作品はガラス製品がほとんど。ですが、モチーフは多岐にわたります。
当時流行していた異国趣味(日本、中国など伝統的なモチーフの他、イスラム風のデザインも残されています。)
黒いガラス地に天使や蝶などのモチーフを張り付けたもの。
そして一番の多かったのが植物や昆虫などの自然物のモチーフでしょう。
こうも自由にガラスで表現したいものを作ることが出来た背景には、技術の確かさがありました。
ガラス容器の上にまた違う色のガラスをはめ込む。
同様に今度は違う素材(鉄や時には宝石など)をはめ込んだりもしました。
これらの技法で特許を取ってもいます。
また、七宝焼きなども取り入れました。
こうしてガラスの容器の上に咲いた花々、優雅に遊ぶ蝶やトンボ。
それらは時には光を透かして幻想的に見えました。
また時には何層にも重ねたガラスが独特の色合いを見せ、四季の移り変わりの儚ささえをも思わせました。
工業化を避け、あくまでも手作りに拘った(一人で作っていたわけではなく、あくまで工房を経営してもいたのですが。)その作風は当時流行していたアールヌーボーそのものでした。
その美しい作品は、今でも色あせることなく高い評価を受け続けています。

文:小椋 恵

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