ジョルジュ・ルオーのここがすごい!
人間の苦悩を表現し続けた画家
ルオーは19世紀後半に生まれたフランスの画家です。
モチーフにキリストを描いたものが多く、宗教画家と評されることもあります。
代表作はキリストの顔だけを描いた「聖顔」です。
受難者のキリストの苦悩の表情を描いています。
タッチは黒い線を輪郭とし、力強くシンプルです。
若い頃、ステンドグラスの職人のもとで働いた経験があり、その影響があるようです。
また絵画だけでなく、10年の歳月をかけた版画集「ミセレーレ」では、労働、苦悩、など人間が生きていく上で避けて通れない様を、全58点のなかに力強く描き切っています。
一方で、幼い頃にサーカスでよくみた道化師を描くようになります。
サーカスの道化師は、人を精一杯笑わせます。でも舞台をおりたあとの疲れ果てた様子、旅回りの生活、生活の貧しさ。
一見、楽しく人を笑わせることと相反するような、道化師の哀しみが伝わってくるような絵が多いです。
疲れ果てた道化師が、子供と語らう「小さな家族」という絵。
つらい毎日のなかで、子供とほっとくつろぐ道化師家族のほんのひとときに、癒される絵です。
生きていくのはどうしてこんなにつらいのか、キリストの苦悩、道化師の哀しみ、そこにルオーは共通のものを見出していきます。
一生を通して、人間の苦しみ、哀しみを描き続けた孤高の画家です。
文:arumi
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