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アンリ・ルソーのここがすごい!
素朴派と呼ばれた純真な日曜画家
アンリ・ルソーが初めて絵画展に自身の作品を出品したのは、彼が41歳の時でした。
パリで税関職員をしていたルソーは、1冊の本を教師に独学で絵を描き始めます。自身の作品を、当時近所に住んでいたフランス画壇の重鎮クレマンの元へ持ち込むなど精力的に絵に向き合っていましたが、絵画の基礎も勉強していない日曜画家の絵は評論家に酷評され続けます。
平面的な構図に、大きく描かれた人物。遠近法もデッサンもメチャクチャな彼の絵は従来の美術史の概念では到底評価できなかったのです。
しかし、その云わば常識にとらわれない技法が、彼の絵に独特の存在感を与えました。
稚拙な遠近法で描かれる背景は描かれる人物を際立たせ、見る人を彼の絵の中へと引き込んでいきます。正規の美術教育を受けなかったことがかえってルソーの絵に独特の味わいを付与しているのです。
今ではルソーはこうした正規の教育を受けなかった「素朴派」の画家達の代表格です。
彼の絵の持つ魅力にいち早く気付いたのは、新しい芸術を模索していた若い芸術家達でした。
ゴーギャン、ピカソ、アポリネール、ローランサン…。輝かしい才能の持ち主達が、後年のルソーを友人として支えました。
ルソーは兵役に就いたあとパリ市税関で働き結婚。平凡で穏やかな生活を送っていましたが、絵を描くことにのめり込みやがて画家として生きていくことを思い立ちます。
自分の才能を信じ自分の絵に自信をもっていたルソーは、苦しい生活の中でふたりの妻に先立たれても、ひたすら無邪気に絵筆を握り続けました。
夢をも現実だと思い込むほど純真だったルソーの絵は、不思議な静寂を伴い見る人を幻想の世界へ誘います。
文:雪まつり
一度見たら忘れられない強烈さ、ルソーの楽園とは
のっぺりした色で、人物の顔も怖いし、遠近感もなんかおかしい…。一見、素人が描いたのかと思うようなどこかちぐはぐな絵。しかし一度見たら忘れられない。それがアンリ・ルソーの絵です。下手くそに見えるのは当たり前、だってルソーは絵について学んだことがなかったのですから。
彼の画家としてのスタートは、税官吏として仕事をしながらの日曜画家…つまり趣味の領域でした。1855年にアンデパンダン展で画家としてデビューした時には、散々笑われたとも言います。それでも彼は気にせずに絵を描き続けました。その独自のタッチは、ピカソやゴーギャンなどのちの芸術家たちに大きな影響を与えました。
ルソーは「夢」「蛇使いの女」などジャングルにまつわる絵をたくさん描いています。生い茂る植物、奇怪な花々、樹木の隙間から見える蛇…、見ていると、熱気が頬撫で、遠くから獣の声が聞こえてくるような錯覚に陥ります。こんなにジャングルの雰囲気を再現できているのに、ルソーはジャングルに実際に行ったことはなかったとか。パリの植物園で見たものを自分でアレンジして描いたと言われています。絵に描かれたこれらの熱帯雨林は、彼の南国への憧れを形にした楽園なのでしょう。どこか謎めいた楽園は、私たちを惹きつけてやみません。
文:翠
アンリ・ルソーの作品紹介
ルソーの「蛇使いの女」エキゾチックな雰囲気の素敵な絵画です。
ルソーの「蛇使いの女」を初めて見た時、私はどこかエキゾチックな雰囲気のある絵画だなと思いました。「蛇使いの女」はルソー独特の濃い色使いで植物が画面いっぱいに描かれており、その中に一人シルエットで描かれ、こちらを真っ直ぐに見つめている女性がいます。その真っ直ぐな眼差しは見ている人を思わずドキッとさせる力があります。
この女性は一体何者なのか。何のために蛇を使っているのか。この絵画には他に人はいませんし、蛇も何かをしているわけではありません。エキゾチックな雰囲気も相まって、魅力的な謎があると私は思います。
この絵画は1907年に描かれたものです。今では信じられませんが、この絵画が世に出るまでルソーは多くの人から画家として認められていなかったそうです。そんな彼の評価を一気に変えたのがこの「蛇使いの女」を始めとしたジャングルを題材に描かれた絵画だったそうです。ルソーが亡くなったのが1910年なので、画家として認められたのは本当に晩年の事だったと言われています。ただ、そんな生活の中でもルソーは決して不平不満を漏らす事は無かったそうです。
妻も子も早くに亡くし、生活は決して楽なものでは無かったルソーですが、晩年その画力が大物画家からも認められました。努力は必ず報われるという事を教えてくれる絵画でもあると私は思います。
文:るるるるん
ルソーの「夢」はエキゾチックで幻想的な雰囲気の絵画です。
アンリ・ルソーの「夢」はまさにタイトルの通り、自分は素敵な夢の中にいるのではないかと思わせてくれる一枚です。私はまだこの絵画を生で見た事は無いのですが、生で見たらきっと「この絵画から離れたくない、この夢の中から目覚めたくない」と思うだろうなと思いました。それほどまでの幻惑的な魅力がこの絵画の画面いっぱいに詰まっています。
「夢」はルソーが亡くなる直前に描かれている絵画です。今までルソーは「夢」を始めとしたジャングルを題材にした作品が描かれるまで評価されていませんでした。それどころか嘲笑の対象だったそうです。ですが、この「夢」が展示された時、評論家は「今年は誰も笑わないであろうと信じる」と評価したそうです。もしこの絵まで嘲笑の対象になってしまったら、多くの芸術家が芸術に対して絶望しただろうと思います。それほどこの絵画にはルソーの集大成といった幻惑的な美しさがあります。
残念ながらルソーは1910年、66歳の時に肺炎で亡くなってしまいます。もしも病気になっていなかったら、もっと彼の作品をたくさん見る事ができたのに残念としか言いようがありません。後世、私のように「夢」を見た後に同じ事を思った人は世界中にたくさんいると思います。
文:るるるるん
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