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フランシスコ・デ・ゴヤ

フランシスコ・デ・ゴヤのここがすごい!

スペイン絵画の巨匠と言われる宮廷画家

近代絵画の祖と言われるゴヤは、18世紀から19世紀のスペインで長く宮廷画家を勤めました。
ゴヤが宮廷画家に就任した当時のスペインは、政治に興味を持たないカルロス4世に代わり王妃が実権を握っていました。
自分の愛人を宰相に取り上げ、思うままに国を支配する王妃の下、宮廷は権謀術数が渦巻き腐敗しきっていました。
しかし、貧しい下級貴族に生まれたゴヤは自分の社会的地位と経済的な安定を求めてその渦の中を上手く泳ぎ渡っていきました。
ゴヤは46歳の時に大病を患い聴力を失ってしまいます。しかしこのことが、ゴヤの才能を更に開花させました。
外界と遮断された音のない世界に身を置くことで、自分の魂あるいは描くものの本質へと深く向き合うようになったのです。
古いロココ様式にこだわっていた画風から、近代リアリズムへ。
その変化は好意的に受け入れられ首席宮廷画家に抜擢されるほどでした。
しかし、ゴヤの画家人生は決して順風満帆だったわけではありません。
名作「裸体のマハ」と「着衣のマハ」を描いたことで宗教裁判にかけられたこともあります。
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老年は「聾者の家」と名付けた自宅にこもり、人間の欲望や愚かさを「黒い絵」シリーズに描きました。
ゴヤが宮廷画家の職を辞したのは80歳の時でした。
実に40年近くの年月を宮廷画家として過ごしたゴヤは、混乱するスペイン王朝に寄り添い、その内面をリアルに描き出しました。

文:雪まつり

フランシスコ・デ・ゴヤの作品紹介

ゴヤの「運命の女神たち」は見ているこちらにも悲しさが伝わってくる一枚です。

ゴヤの「運命の女神たち」は全体が暗く、その中に運命の女神達とそれに翻弄される人の姿が見えます。ですが、不思議なのは翻弄されている人の顔です。翻弄されているというよりは逆に不敵で何を考えているのか分からない、もしかしたら運命の女神達よりも運命について何かを感じているようにすら初めて本でこの絵を見た時に私は感じました。
ですが、この絵画に描かれている暗い雰囲気はゴヤ自身やゴヤの国を象徴していると言われています。それを知った時、翻弄されている人はゴヤ自身でその表情は不敵なのではなく、ゴヤ本人にしか分からない、もしくは運命の女神達に翻弄されながら、それでも何もかも悟って諦めているのかもしれないと思いました。

この絵画はゴヤの傑作と言われている「黒い絵」達の中の一枚です。現在はスペイン・マドリードにあるプラド美術館にこの「運命の女神たち」を始め「黒い絵」達全てが所蔵されています。

運命の女神達の三人は、ギリシア神話に出てくるモイライと呼ばれている姉妹です。長女が運命の糸を紡ぎ出し、それに次女が運命を与え、三女がそれを切る、この一連の流れが人の一生そのものだと言われています。
「運命の女神たち」は人の一生そのものを示している絵画だと思われていますが、全体的に暗いのでそれだけゴヤは人生に絶望していたのかもしれないと思うと、見ているこちらも悲しくなってくる一枚です。

文:るるるるん

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