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ピエール・オーギュスト・ルノワールのここがすごい!
優しい色使いで美しい
印象派という言葉は、誰しも一度は聞いたことがあるでしょう。
これは19世紀後半に、フランスで起きた芸術運動の一つです。
その特徴とは、描きたいものの光や空気を描こうとしている点にあります。
見たものをそのまま描こう、というのではなく、光や空気を感じて色にしているのです。
光=黄色や白、ではないのです。
肌の色=肌色でもありません。
光をよく見ると、ピンク色やオレンジ色など、様々な色からできているのです。
肌も光があたって、青色やピンク色など、様々な色が合わさって、肌色に見えるのです。
この世にある色というものはそもそも、光があたるからこそ現れるものですから、言ってみれば、光に色があるようなものです。
また、光が空気中の埃にあたって反射してきれいな輝きが現れることもあります。
光や空気を描くことで、自然と、やわらかくて優しい色使いになっている作品が多いです。
中でもルノワールの作品は、とても美しいです。
色使いが美しいことはもちろんですが、それに加えて、作品に出てくるすべての女性が、とてもやわらかく美しいのです。
それは、触れた時の感触が想像できるほどです。
ルノワールの作品を見ていると、癒されて、幸せな気持ちになるので、とてもおすすめですよ。
文:みかん
彼は病気で絵筆を持つ手が不自由だったことをご存知ですか?
天才的な芸術家が、生きている時代に評価されることは非常にラッキーで、多くの絵画家・その他の作家は何らかの不自由さの中から光を見出しながら作っていったのだと思って鑑賞しています。
最近は、芸術家の一生を俯瞰して観るようになってきたのですが、そんな中で誰の目にもそれだと分かるような作風で印象に残る、有名なルノアールは関節リウマチで、絵筆を支える力が十分でない中で絵を描きつづけておられ、指先は曲がっていたようです。
関節リウマチという病気は、ご家族に同じ症状の方がいらっしゃらないと分からないような、時間帯によるからだのこわばりがあったり、日常生活の動きがスムーズにできないような、ちょっとした動きが妨げられるような症状があります。
現在では新しいお薬によって身体に負担が少なく穏やかに治癒の方向に導くことが可能となった病気でもありますが、ルノワールが生きた時代には、そんなものはあるはずもなく、曲がった指先で絵筆を持ちながらも思うように身体が動かない中で、やわらかい色使いの優しい表情の女性や、家族が和やかに過ごす風景など、明るく描かれました。
絵を観ている限り、そのような状態で描かれたものや苦労など微塵も感じられないところに、驚きを隠せませんでした。
彼が家族から送られたという書簡の展示を観たことがあるのですが、短い文面からはとても愛情に満ち溢れた様子が伝わってくるおてがみで、作品にも家族に向けるのと同じ愛情を込めたのだと思いました。
単純に、「観ていて綺麗な絵」その中にも、さまざまな光の当て方や見出し方があるというところを楽しんでいます。
文:soy
フランス印象派、 ピエール・オーギュスト・ルノワール
私が大好きな画家の一人、クロード・モネとともに、19世紀の印象派を代表する画家、ピエール・オーギュスト・ルノワール。彼はモネとは異なり、終生比較的恵まれた穏やかな人生を送った。生い立ちこそ違えど、絵画に見られる色彩の美しさと表現力の豊かさは共に印象派の一時代を築いたこともあり、共通する部分がある。
ルノワールは日本でも名前がよく知られ人気が高い画家の一人であるが、それは絵が持つ日本人に好まれやすい優しい色彩と、穏やかで明るい空気感にあると思う。私もそうした部分に惹かれた者の一人だ。
モネが自然を愛し、風景画を描き続けたのに対し、ルノワールは人を愛し人物画を描き続けた。そのほとんどが、苦難や悲しみに満ちた暗いものでは無く、陽気さや幸せを讃えたものである。そうした作風は、彼の穏やかで友好的な性格、人を愛し、また人に愛された半生を物語っているように思う。
上でも述べたように、彼の絵には穏やかさと愛情に満ち溢れたあたたかさがある。モネにも共通して言えることだが、結局、絵という物は、その人物の辿った人生と内面を写す鏡であり、また愛情を持って描きたいものを描くということが、見るものの心に伝わり感動に働きかけるものになるのだと思う。
文:ゆうゆママ
美しいことを大切にしたルノワール
印象派の代表のルノワールですが、後期から作風が変わったことでも有名です。花や風景画もありますが、メインは人物画がとても素晴らしいです。
声楽隊や磁器の仕事などをしていた時もありますが、産業革命が影響して職をなくすと絵が好きで画家を目指します。
本当にすごく絵が好きなんだなと思わせるところとして、師のグレールが、「自分の楽しみの為に絵を描いているようだね」といったところ、ルノワールは「楽しくなかったら絵は描きません」と答えたという話がありとても興味をそそられました。
このルノアールの素晴らしい所は、世の中は醜いものが多すぎる、だから絵は壁を飾るもので綺麗でないといけないと言って明るくきれいな絵を描いていたことです。黒という色は自然界には存在しないとして、陰影を表す色を黒以外の色を使っていたというのは技術や理論を持っていないとできない事なのですごいなと思いました。しかし、肌の陰影を青紫を使ったりして「なんだこの腐ったような肌は」と言われてしまったそうで残念です。
そして、輪郭をあまりしっかり取らない印象派の描き方からデッサン重視の描き方に移行していったところも、ルノワールは進化を続けていて素敵なところです。
文:mariko s
光と色彩が柔らかく織混ざって甘い感動的な瞬間♪
もう20年以上前になりますが私が横浜に出てきたばかりの頃すごく大きな美術展覧会がたくさんあってすごく感動しました。大きな素敵な美術館も都内には多くてよくほとんど毎週、多いときには週に何回も美術館へジャンルを問わず見に出掛けました。そのお陰ですごく都内や神奈川近郊の土地勘ができてすぐにお仕事が見つかったのですが少しも迷ったり(道や電車に)うろたえたりすることがなかったんです。しかも物凄い量の絵画や美術品を観て回ったことが後に色んな人との会話にもつながったのがすごく嬉しかったです。
東武美術館だと思いますがすごく大きなルノワール展がその当時開かれていました。その頃はまだ「ぴあ」が売っていて毎週買っては色んな美術館や展覧会のチェックをしていましたがその中でも絶対行きたい美術展で池袋迄見にいったのを覚えています。ルノアール展であんなにすごいたくさんのコレクションを見たのはもちろんはじめてでしたから圧巻でした。印象派絵画独特の離れて見ると柔らかい光と陰影が降り混ざってすごく素敵!って純粋に感動したのをはっきり覚えています。印象派絵画展はモネ等も見逃さずいきましたが最初の頃にあんな大掛かりなルノアール展を観れたことは感激で今も私の心の財産になっています。
文:まやにゃん
オーギュスト・ルノワールの作品紹介
印象派との決別。自らの理想を追い求めて。「舟遊びする人々の昼食」
オープンテラスのレストランで食事を楽しむ人々。今にも笑い声や話し声が聞こえてきそうな作品です。
この絵を描いたのはピエール=オーギュスト・ルノワール。触りたくなるような肌や髪をした女性の絵で有名ですね。
印象派の画家として知られるルノワールですが、触りたくなるような女性を描こうとしたからこそ、印象派と決別しなければならなくなりました。細かいタッチによって光を描こうとする印象派の技法をつきつめていくと、全てのものが形を失い、存在感を失ってしまいます。ルノワールが描きたい触りたくなるような、触ることのできるような女性像は描けないのです。
この 「舟遊びする人々の昼食」は、まさに印象派からの転換期に描かれました。
一瞬を切り取ったような躍動感や屋外の明るい光の描写がありつつも、人物は風景からくっきりと浮かび上がり、一人一人が細かく描写されています。
描かれているのは、ルノワールの友人たち。犬を抱き上げているのはのちに妻となる女性。手前に座る男性は画家カイユボットです。どの人物も個性を持ち、生命感あふれる人間として描かれているのが特徴です。そのためでしょうか?この作品を見ていると、絵の中に入り込み、描かれた人々と一緒にテーブルを囲んでいるような錯覚すら覚えてしまいます。
印象派と決別したルノワールは、このあと長い時間をかけて独自の画風を確立していきます。
文:sophia
虹色のパレットから溢れる光に彩られた人々「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」
ルノワールの代表作である「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」は縦1.31m×横1.75mの大きなキャンバスに、カフェに集まる大勢の人々の楽しげな様子が描かれています。舞台となったのはモンマルトルに実在した野外のダンスカフェ「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」。
当時のモンマルトルはブドウ畑の広がるのどかな丘陵地帯で、カフェに集まるのは麓に住む職人や学生、お針子や画家。ルノワールや友人のドガもこの新しい遊び場の常連だったそうです。
この店の気取らない陽気な雰囲気がすっかり気に入ったルノワールはこの店を描くことを決め、ある時店に大きなキャンバスを持ち込んだそうです。
モデルとなったのはルノワールの大勢の友人たちでした。
彼らは何時間もポーズをとり続け、絵の完成まで協力を惜しまなかったそうです。
今ではルノワールの、そして印象派の代表作とも言えるこの絵は、人物にあたる光の効果を研究していたルノワールが自身の技法を模索していくなかでたどり着いた作品です。
彼は、それまで黒で描かれていた人物の影を、赤には緑、黄色には紫といった補色を利用して表現しました。虹色のパレットと呼ばれるルノワールのパレットに黒の絵の具が乗せられることはまずなかったそうです。
この絵が描かれた当時は印象派はまだ画壇に認められておらず、磁器の下絵かきだったルノワールの描く女性は「腐った肉の塊」だと酷評されました。
しかし、ルノワールはこの絵に描いたように、光を浴びて輝く女性を描き続けます。その明るさはまるでこれからの印象派の隆盛を知っているかのように楽しげで、いつ見ても色褪せることはありません。
文:雪まつり
画面中から楽しさが伝わる作品
オーギュスト・ルノワールの「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」は、楽しそうに踊る男女が画面中に描かれており、絵画全体から楽しさが伝わる素敵な作品です。この作品の舞台は、当時話題になっていたルノワール自身が常連だったモンマルトルのお店で、登場人物はルノワールの知り合い達だと言われています。私は大塚国際美術館でこの作品を見た時、ひと目で大好きになりました。
「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」の作者であるオーギュスト・ルノワールは、1841年フランスに生まれました。幼いころから絵の才能があったのはもちろんですが、歌の才能もあり聖歌隊に入ります。その後オペラ座の合唱団に入らないかと誘われますが、そちらはやめて絵の道に進む事になります。「楽しくなかったら絵なんて描かない」という彼の言葉はとても有名です。描いた作品が約4000点にものぼる事からその言葉が真実だったという事が分かります。ルノワールの作品は日本にも早く伝わり、その明るく柔らかい画風から昔からファンがとても多かったそうです。
この絵画からは、ルノワールが登場人物たちを一人ひとり愛情を込めて描いている事、ダンスの雰囲気を心から楽しんでいた事がとてもよく伝わってきます。この絵画をきっかけに絵画そのものを好きになった方も多いのではないかと私は思います。
文:るるるるん
『セーヌの水浴』
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