石岡瑛子のここがすごい!
「着ること」「纏うこと」を越えて
石岡瑛子は、2012年にこの世を去ったアートディレクター兼デザイナーです。
東京芸術大学を出たあと、資生堂へ入社し、グラフィックデザイナーなどを経て独立しました。「女だからチヤホヤされるんだ。」と周りに言われて闘志を燃やした彼女は、40代になったころ、単身でニューヨークへ渡ります。そこで、映画の衣装製作やセットのデザインに関わり始めます。彼女の類稀なる輝かしいセンスは、もちろん国内にいた時も生かされていましたが、海外で更に花開くことになりました。
さて、彼女の代表作は数多くありますが、私が一番好きなのは、石岡が監督した歌手ビョークのミュージックビデオ「Cocoon」。
ビョークのビデオは、ただでさえ独創的な作品が多いのですが、「Cocoon」を初めて見た時の衝撃は、なかなか言葉で表現できないようなものでした。顔から爪先まで白塗りを施されたビョークが、乳房から出る赤い血管のようなものをクルクルと操っていきます。楽しそうに、時には悲しそうな表情で。最後は、その赤い管で全身をグルグル巻きにされ宙に浮いていきます。
奇妙でいて、どこか暖かい生命を感じさせるような演出。映像は非常に先駆的でファッショナブルなものです。石岡瑛子がこの曲をどのように解釈したのか、そしてどのように再構築したのか、よく表れている作品だと思います。
時間が経っても全く色褪せない石岡瑛子の作品。ぜひ、皆さんもその目で体感してみてください。
文:spacedog
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