<h3アンリ・ミショーのここがすごい!
「無」のような画面を描いたアンリ・ミショー
絵画は具象表現と非具象の表現に大別できると思います。非具象表現の中に「非定型の芸術」と呼ばれるアンフォルメルと呼ばれる表現があります。アンフォルメルの作家にアンリ・ミショーがいます。
1899年、ベルギーの裕福な家庭に生まれました。彼は20代前半から水夫となって世界各地を訪れます。その後、表現の世界に足を踏み入れます。多くの芸術家に影響を与えたロートレアモンの文学に影響を受けたためです。
ミショーはタシズムと呼ばれる表現形態の創始者とされます。文学表現だけではなく彼は絵画表現に取り組みました。タッシュ、つまり「炭の跡」のような点描で彼の内面世界を表現しました。筆跡は点の集積のようです。非具象で、まるで「無」のようです。意味を見出すにも困難な画面に息づくのは彼の存在、つまり視覚と手の運動です。ある意味では東洋的な印象さえ醸し出しているかのようです。西洋絵画の範中には、彼の作品のような表現は他に見当たらないといっても良いと思います。独自の表現です。孤高の画家とも言えるのではないでしょうか。
超現実主義の範中に入れてもよさそうですが、彼はそれを好まなかったようです。彼の絵画表現は彼から生まれ、彼とともに去ったかのようです。魅力的な表現です。
文:竹中 悟
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