フェルナン・クノップフの作品紹介
静かな幻想の世界へ誘う画家クノップフの「見捨てられた町」
ベルギーのブルージュという街をご存知ですか?
中世の美しい景色が残る世界遺産の街です。日本からも多くの人が観光に訪れています。
ブルージュは中世に貿易港として栄えていました。ところがその後、水路が浅くなり港として機能しなくなってしまいます。
そのおかげで中世の街並みが現代まで残ったのですが、当時の人にとっては近代化から取り残され街が衰退していくということでした。
そんなブルージュの様子を描いたのが、フェルナン・クノップフ「見捨てられた町」です。
クノップフは、19世紀末のべルギー象徴主義を代表する画家。象徴主義は目に見えないものを象徴的に表現しようとしました。
「見捨てられた町」は、実際に存在するブルージュの水曜日広場を忠実に描いています。その一方で広場にある彫像の土台だけを描く、現実には存在しない広場に打ち寄せる波を描く、などして見捨てられた街、死んだ街を表現しました。
現実と非現実があわさった描写を見ていると、夢の中で誰もいない街に迷い込んでしまったような不思議な気持ちになってきませんか?そして、その街が静かに滅びていくかのように。
また、クノップフをはじめとする象徴主義は、現代のイラストやアニメ、ゲームの幻想的な描写に影響を与えたといわれています。たしかにアニメやゲームの一場面のようにも感じられますね。
文:sophia
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