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ジョン・シンガー・サージェント

ジョン・シンガー・サージェントの作品紹介

切ないほどに美しくて懐かしい夕暮れ時の一場面「カーネーション、リリー、リリー、ローズ」

夕暮れ時の淡い光に照らされた花の咲き乱れる庭。提灯を手にした二人の少女。幻想的な美しさと懐かしさにあふれる作品です。

作者はジョン・シンガー・サージェント。19世紀後半から20世紀前半に、イギリスで活躍したアメリカ人の画家です。イタリアに生まれフランスで美術教育を受けた彼は、さまざまな国の絵画の影響を受け、独自の優美な画風を生み出しました。

そんなサージェントが印象派的手法で描いたのが、この「カーネーション、リリー、リリー、ローズ」です。
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屋内制作の肖像画で知られるサージェントですが、この作品では夕暮れの光や花ざかりの庭を画面に写しとるため、屋外で制作をしました。

とはいえ、夕暮れの光は長くは続きません。夏の間、毎日毎日夕暮れ時にモデルの少女たちとともに庭にでて描き続けること二年。ようやくこの作品が完成したそうです。

そして、細部にも注目してください。少女たちが持っているものに見覚えがありませんか?日本の提灯なんです。また、背後に咲くユリも日本のユリです。当時のヨーロッパでは、ジャポニズムが流行っていました。さまざまな国の文化や絵画の影響を受けてきたサージェントは、日本文化をも取り入れ、作品の中で見事に活かしたのです。

暮れていく淡い光の下、花ざかりの庭で丁寧に描かれたからこそ生み出された幻想的な世界、その中に潜む日本、それが私たちに切ないほどの美しさと懐かしさを感じさせるのでしょう。

文:sophia

〈カーネーション・ユリ・ユリ・バラ〉

 ずっと心に残っていた〈カーネーション・ユリ・ユリ・バラ〉。はじめは誰が描いたのか知りませんでした。けれど、この空気感が心地よくて忘れられない一枚となっていました。 その後この絵を描いたのがサージェントという画家である事を知りました。  サージェントとはどのような人だったのでしょうか?彼の両親は共にアメリカ人でしたが、保養のためヨーロッパに旅立ちます。そんな訳で彼は1856年1月フィレンツェに生まれました。外国暮らしで転々と旅に明け暮れていたので彼は正規の教育をほとんど受けていなかったそうです。それにもかかわらずイタリア語・フランス語・ドイツ語を話す事ができたそうです。また、ヨーロッパの文学・音楽をはじめとする多方面の芸術を身につけていったそうです。
 彼はエドワード7世の時代の肖像画家です。ですから写実的画風を身につけていましたが、クロード・モネとも交流があったようで印象派の影響も受けています。
 サージェントといえば〈エドワード・D・ボイドの娘たち〉が思い出されます。闇の中に静かに浮かび上がる白いエプロンドレスの少女たち。色の対比の素晴らしい絵です。
 そんなサージェントの作品〈カーネーション・ユリ・ユリ・バラ〉の空気感は最高です。 この絵の魅力は、たそがれ時の移ろいやすい光をみごとに描ききっているところでしょうか。薄暮の移り行く光の中、少しづつ提灯のあかりが浮かびあがっていきます。そしてその提灯を抱えた少女達の顔・服・手へと次第にあかりが移っていきます。
 詩的で温かくて、見ている人の心をしあわせにしてくれる一枚です。

文:ブルーベリー

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『エドワード・D・ボイトの娘たち』

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『マダムXの肖像』

ジョン・シンガー・サージェントの基本情報

最後の肖像画家ジョン・シンガー・サージェント

ジョン・シンガー・サージェントは、 印象派など新しい時代を感じさせる絵画が次々と生まれる中で、伝統的な肖像画を描き続け「最後の肖像画家」と呼ばれた画家です。
サージェントは、1856年にイタリアに生まれ、イタリアで育ったアメリカ人。 少年期に水彩画を学び、18歳の時にフランス・パリに出て本格的に美術を学びました。
1884年、 サージェントはパリのサロンに「マダムX」という肖像画を出品します。

今の私たちから見ればただただ美しいだけで、しかもモデルの名前も明かしていないこの作品ですが、実在のゴートロー夫人を官能的に描いているとみなされ、スキャンダルに発展します。
このスキャンダルでサージェントはパリにいられなくなり、イギリス・ロンドンに移ります。そして、改めて肖像画家としての地位を築いていきます。古典的でありながら独特の優美さがただよう肖像画は人気を集め、1897年にはロイヤル・アカデミーの正会員となりました。
また、 父の祖国アメリカにも活動の場を広げます。アメリカ大統領の肖像画や、ボストン公共図書館の壁画、ボストン美術館の天井画なども手がけました。
1907年ごろからは水彩の風景画に没頭していきます。肖像画とは違った趣ながら、伝統と優美さを兼ね備えた作品を描きました。
世界各地で活動し、さまざま絵画の影響を受けつつも、伝統を守り続けたサージェント。1925年に死去しました。

文:sophia

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