浦上玉堂のここがすごい!
モノトーンで表現された自然が秀逸
浦上玉堂は18世紀から19世紀にかけ、岡山の鴨方藩(現在:浅口市)の上級藩士だったのですが、琴や絵画など風流芸術に秀でたお役人だったせいか、どうもお役人としてよりは文化人としての評価の方が高い人だったようです。
あまり目立って有名な作家ではありませんが、彼の墨絵は国宝級、重要文化財級の作品が多く、主に愛知県を中心に、美術館や個人が所蔵しています。緊迫や極彩色の絵の具を使ったきらびやかな浮世絵に比較すると、墨の濃淡やほんのわずかな彩色のみで、人物や山水画などの風景を描いたものが多いですが、大陸からのエキゾチックな画風あり、まるで書道のような力強い筆運びの作品あり、また、遠目で見ると、現代で言うところのデジタル作品を思わせる作風(国宝 凍雲篩雪図)があります。
色が多く使われていなくても、絵がすでに持っている躍動感や息遣いが、まるで実際の風景を見ているような錯覚を起こす、そんな勢いを感じる画風です。
なお、国宝 凍雲篩雪図は、文豪川端康成のお気に入り作品。文豪と画家という若干ジャンルが違う分野ではありますが、同じ日本の芸術や雅を愛でるものとしてのシンパシーがあったのかもしれません。
玉堂の作品は、個人所有も多いため、もしかしたらどこかに隠れた名作が眠っている可能性があるのでは?という期待もあります。
絵画好きの人のみならず、書家を目指している方にも、その筆遣いは大変参考になりそうです。
文:有紀黎
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