ポール・デルヴォーの基本情報!
永遠に醒めない夢の中で彷徨い続ける美女たち。
ボール・デルヴォーは1900年代にベルギーで活躍した画家でした。
シュールレアリスムの技法をとり、この時代のシュールレアリスト達のほとんどすべてがそうであったようにデ・キリコを尊敬し、その影響を深く受けています。
しかしデ・キリコとの違いはその作品の中に必ずと言っていいほど女性が出てくること。
そしてその多くが全裸あるいは半裸なのです。
多くの裸婦像は室内で描かれますが、彼の作品の裸婦たちは都市を平然と歩いています。
まるで、それが当然であるかのように。
それにしてもポール・デルヴォーの描く女性たちは不思議です。彼女たちが場所を考えず裸になるという以前に、生気というものが全く感じられないのです。マリエスムの画家たちが描いたお人形のような生気のなさとも違います。
表情というものが全くなく、自分の近くにいる人物にも、周囲の風景にもまるで無関心のように見えます。
デルヴォーが描いた階段という作品は2点残されていますが(そのうちの一枚は横浜市立美術館で見ることができます。)仕切りのない建物の中、半裸及び全裸の女性が緩やかに歩いているという点で共通しています。
仕切りのない建物。つまり、室内と戸外を自由に出入りできる場所であり、そこを彼女たちは自由に行き来できるのです。
デルヴォーにとっての女性とはどういう存在であったのか。
詳しい資料などは残されていません。しかし、建物の内と外に象徴される自らの意識と無意識を自由に歩き回れる存在として意識していたのではないでしょうか。
デルヴォーの作品は、その無表情な女性たちによって、まるで時が止まっているかのような錯覚に陥ります。永遠に醒めることのない夢のようです。その世界で、すべてにおいて無関心な女性たちは、やはり永遠に夢見るようなまなざしで彷徨い続けているのです。
文:小椋 恵
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