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ジョルジュ・スーラ

ジョルジュ・スーラのここがすごい!

スーラの理(ことわり)と幻想

ジョルジュ・スーラは19世紀のフランスの画家です。
有名なのは印象派の光の理論から編み出した点描画で、絵が細かい点で構築されてるのが特徴です。
『グランド・ジャット島の日曜日の午後』が有名で、この点描と鮮やかな色彩は流れるような空気と光を感じさせ大地の温かみさえ伝わるほどの雰囲気を与えてくれます、当時20代にして生涯の大作を作り上げました。

その技法は画期的でありこれから先も画家として色のセンス、技法を含めオンリーワンに立ち続ける人といったイメージを植え付けます。
線描では感じることが出来ない繊細な点、それが集まった一つの面といったその二つの性質が併せ持つ深みは他の作家と比べることすら困難です。

しかし恵まれなかったのはその命の短さで、若くして亡くなってしまいます。
また点描という時間が必要な製作方法なので作品自体の数が少ない事もあり、もし長生きしていればより素晴らしい作品が見れたのかと思うと非常に残念です。

作品の数が少ないのにも限らず今日も美術の色彩論、技法の授業で名前があげられるのは短いながらもスーラの功績が確かなものである証拠です。
密と疎、点と点といった美術の基礎を体現したような画風は忘れられることはないでしょう。

文:みみみみみ

点描画で個性を出した画家スーラ

19世紀のフランスの画家、ジョルジュ・スーラ。スーラという名前は忘れてしまっても、点々をたくさん描いて人物や風景を描いた画家と言えばだれでも知っていると思います。スーラは印象派に分けられますが、その画風は新印象主義と呼ばれます。

スーラの魅力は何といっても個性的な技術です。点々をたくさん描いて人物や風景を描くという技術を生み出したところがとても素晴らしいのです。そしてちょっと哲学的で意図的な所にスーラの頭の良さや技術力を感じます。例えば、印象派は自然や四季の移り変わりなど表面的な変化を表現して描いているのに対して、スーラは表面的な変化のその奥にある普遍的な法則を見つけて表そうとしたところがなんとも誰もが出来る事ではない発想だと思います。

スーラは色彩の化学理論に興味を持って、絵画を科学的に裏付けして具体化しようと考えました。印象派も点描技法は使っていましたが、感覚的に使うのに対し、スーラは化学的に分析した色だけを使って計画的に絵を完成させています。

画家は天才的な感覚を持っていて描けるのだと思っていましたが、それだけではなく、分析に分析を重ねて絵を完成させるという発想があったところがすごいと思います。画家の価値は技法で個性を出すことだとスーラが言っていましたが、この科学的な分析技術で確実に個性が出て人々に知られるようになったところも狙い通りなのかなと思いました。

文:mariko s

色で光を表そうとしたスーラ

モネやルノワールの印象派の次に台頭してきた芸術運動が「点描画(別名、新印象派。)」です。
この点描画の創始者がスーラなのです。

印象派の作家たちは、光や空気を絵の具を用いて色に表そうとしましたが、これには限界があるのです。
これは、光と絵の具との性質の違いにあります。
絵の具では色を混ぜれば混ぜるほど黒っぽくなっていってしまいます。
しかし光は黒くなることはなく、重なる色によっては、逆に白に戻ることがあるのです。

そこでスーラは、色を重ねないで絵の具で光を表す方法を考えました。
それが点描画なのです。
つまり、絵の具を重ねずに色を表現しています。
つまり、スーラの作品を拡大してみてみると、いくつもの点が連なっているのです。
筆でささーっと流すように色を塗るのではなく、ポンポンとつけるように色を塗っているのです。

スーラの代表作の一つとして、「グランド・ジャット島の日曜日の午後」があります。
印象派の作家達は、みたものを自分たちで描きたいように、直感的に描いてきました。
しかしスーラは、理論的に色の配置などを考えて一つ一つの作品を描いていきました。
スーラは様々な有名な視覚理論に関する著書を読んで研究することで、「点描画」という手法を創始するに至ったのです。

文:すみれ

ジョルジュ・スーラの作品紹介

緻密に作られた印象。永遠に続く一瞬。「グランド・ジャット島の夏の日曜日の午後」

セーヌ河に浮かぶ小島。水浴びをしたり、おしゃべりに興じたり、夏の日曜日の午後を思い思いに楽しむ人々。笑い声があふれているはずなのに、静けさだけが満ちている画面。よく見れば、すべてが細かな点で描かれていることがわかります。
それがジョルジュ・スーラの「グランド・ジャット島の夏の日曜日の午後」です。

ジョルジュ・スーラは19世紀後半のフランスの画家。新印象派の一人です。
モネなどの印象派の画家たちは、その日その時間の瞬間を印象で表現しました。一方、スーラは、何度も何度もスケッチを繰り返し、そのスケッチを元にアトリエで構図を練り、何枚もの習作を描いた上で一枚の作品を仕上げました。
また、色彩の表現も感覚的な印象派に対し、スーラは研究を重ね点描にたどりつきました。

「グランド・ジャット島の夏の日曜日の午後」は毎日のように島に通い、2年の歳月をかけて描かれました。30枚以上もの習作が残され、どこにどんな木を配置するか、どんな人を配置するか試行錯誤した様子が見られます。 画面を埋め尽くす無数の点の大きさ、間隔にもこだわったといいます。

一瞬の印象を追い求めた印象派と新印象派。
スーラが描いたのは、グランド・ジャット島の夏の日曜日の午後の、さまざまな一瞬を一つにまとめて緻密に作られた印象だったのです。
「グランド・ジャット島の夏の日曜日の午後」にはさまざまな一瞬が時を止め、永遠に続く一瞬として詰まっているといえるでしょう。

文:sophia

科学と詩情の幸福な融合「グランド・ジャット島の日曜日の午後」

ジョルジュ・ピエール・スーラ。
1800年代半ばから後半にかけてパリで活躍した画家でした。
比較的裕福な家庭で、16歳からパリ市立のデッサン学校で学び、さらに国立美術学校へ。
そこで、厳しい古典的絵画の技法をしっかりと身につけます。
しかしながら、この作品には古典的絵画の面影はありません。
微小なタイルを張り合わせたように、一定の大きさを保ちながら様々な色彩の点が集まって絵を構成させています。
キャンバスに絵筆を滑らせて描くという学校で学んだはずの古典的な技術から、どういう過程でこのような画風が確立されたのでしょうか。

スーラは後期印象派の画家に分類されています。
これは、全8回の印象派展のうち、最後の一回のみにスーラが参加したからだったのでしょう。
若いうちから正統派の古典美術を学びながらも、スーラもまたそれまでの伝統的絵画の枠の中に自分を収める事が出来ませんでした。
印象派の先輩画家たちが移ろいゆく陽光の中の一瞬を切り取ろうとしたのとは逆に、色彩を科学の目で見つめようと考えたのです。
スーラは色彩を分類します。
それぞれの個体が持つ色。(リンゴならば赤、と言うような事です。)
その個体を照らした光に影響される色(太陽光の下で見た色とランプや電球に照らされた色とでは、ちょっと違って見えるという意味です。)
・・・など。
非常に理論的に色彩を科学の目で見つめました。
色彩が見る条件によって違った色に見える、ということは印象派の先輩画家たちはすでに「感覚的」に掴んでいたものでした。
スーラはそれを合理的にとらえたのです。
その変化する色彩を画布に再現するためには、一定の大きさの色彩を並べる事がより合理的なやり方であると考えます。
これが点描主義の誕生となりました。
また、画面構成にも同じように合理性を求めます。
何枚ものスケッチや下書きを重ね、画面にリズムを作るためにはどの位置にどのようなポーズの人物を配置すればいいのかを冷静に計算します。
しかし、画家ですから当然「美しい」画面を目指しました。
スーラは科学的、合理的な思考と同時に詩的な感覚も持ち合わせており、より合理的に画面に詩情を漂わせるにはどうすればよいのかと計算し続けました。
こうして描かれたのが「グランド・ジャット島の夏の日の日曜日の午後」だったのです。
Georges_Seurat_-_Un_dimanche_après-midi_à_l'Île_de_la_Grande_Jatte

実に多くの人物が描かれた絵画です。
しかしざわめきは感じられず、美しい色彩のハーモニーの中で時を止めてしまったかのような風景画―
それは作者スーラの持つ科学的な視点と、美しい詩的な感覚が実に幸福な形で融合したからに他ならないのです。
残念ながらスーラは31歳という若さで病死してしまいました。
この後、点描画を受け継いだ画家は数名いましたが、そう多くは出ませんでした。
彼がせめて平均寿命を生きていたのならば、美術史には点描画というジャンルの画家がもっと数多く表れていたかもしれないと、残念でなりません。

文:小椋 恵

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